意賀美神社(おがみじんじゃ、大阪府岸和田市)は、龍神様をお祭りする神社で、「雨降りの滝」と呼ばれる美しい滝のあるパワースポットです。
雨降りの滝は、うっそうとした森に包まれた落差10mほどの滝で、見つめているだけで癒されるような不思議な爽やかさがあります。
また意賀美神社の雨降りの滝は、干ばつのときに、滝つぼの水をすくって神前に捧げると「必ず雨が降った」と伝わります。
2018年の台風の影響で少し荒れてしまいましたが、高台のビューポイントからみる美しさは健在。
このほか、意賀美神社の拝殿前には「井滝岩大明神」という神様が宿る霊石があり、「歯痛にご利益のある神様」として信仰を集めています。
今回は「あそこは少し空気が違う」という地元の方の評判を頼りに、だんじり祭りで有名な大阪・岸和田の意賀美神社に行ってきました。
その見どころや不思議な話、駐車場、アクセスなどをまとめてご紹介します。
管理人のように一人で行くのもアリですが、家族や友人とのお出かけやデートなどにもおすすめですので、是非参考にしてください。
Contents
意賀美神社 神様とご利益は
意賀美神社の本殿にお祭りされている神様は、水をつかさどる「闇龗神」(くらおかみのかみ=闇淤加美神)という神様です。
ご利益は、慈雨、五穀豊穣、商売繁盛などになります。
意賀美神社(おかみじんじゃ)の創建はあまりにも古く、はっきりしたことは分かっていません。
少なくとも1300年以上前にさかのぼるのは間違いないようです。
また意賀美神社の背後に迫る山は、神於山(こうのやま)といい、命の水をもたらす「神の山」として、いにしえから信仰を集めてきた聖山です。
かつて山伏が修行した場所としても知られています。
意賀美神社同様、その歴史は古く、神於山からは2000年前の銅鑼などが見つかっています。
なお、意賀美神社は大阪府内にいくつかありますので、足を運ぶ際にはどうかご注意ください。
意賀美神社 雨降りの滝
意賀美神社の雨降りの滝は、「大迫力の豪快な滝」というよりは、洗練された優美さが際立つようなイメージです。
滝を取り巻くようにそり立つ岸壁が、その神聖さを引き立てています。
滝つぼの水もエメラルドグリーンで美しく、周囲の緑と見事に調和した印象を受けます。
実際、意賀美神社の森(鎮守の杜)には定評があり、クスノキ、カシ、ヤマモモなど約70種類の樹木が茂り、大阪府の自然環境保全地域に指定されています。
滝を眺める最高のビューポイントは、水の女神「市杵島姫命」(いちきしまひめのみこと)を祭るお社「厳島神社」のすぐそばです。
もうひとつ、雨降りの滝の魅力は、「あそこは空気が違う」と地元の方に言わしめる「体感的な心地よさ」にあります。
ひんやりとした空気感もさることながら、樹々の香りもよく、心を透明にするような清涼感が漂っていました。
ただ、滝つぼへのアクセスは現在禁止されています。
数年前までは特別な許可を頂く裏技もありましたが、いまは危険を理由に通行止めになっています。
2018年の台風の爪痕がまだ残っていますので、適度な距離を保つ方が美しい滝といえます。(2019年2月現在)
奇跡の雨?滝にまつわる伝説
意賀美神社の境内を横切るようにして、津田川が流れていますが、そこに「雨降りの滝」があります。
この滝は、水をつかさどる龍神様が鎮まると信じられていて、長い歴史のなかで何度も奇跡の慈雨を降らせてきました。
いまから1300年前の聖武天皇の時代――。
近畿地方に始まる未曽有(みぞう)の大干ばつは、静岡や四国にまで広がり、ついには飢饉(ききん)を引き起こします。
苦しむ民をうれい、朝廷は意賀美神社に祈雨を命じました。
すると、この祈りに応えるかのように大地を潤す雨が降りました。
このとき、神社をもっと大きくするよう、朝廷から一段と広い敷地が寄進されました。
さらに150年ほど後、陽成天皇の命令で「菅原道真公」(いまの天神様)が祈雨した記録もあり、このときも疑う余地のないような「ご利益の雨」が降ったと伝わります。
このころから意賀美神社の神様は、「雨降り大明神」と呼ばれるようになりました。
寛永の大飢饉に民を救う!?
意賀美神社に鎮まる龍神様の霊験は、民衆の目でも確認されています。
いまから400年ほど前、全国的な大飢饉(だいききん)に見舞われたとき、意賀美神社に108の村が集まって闇龗神に雨乞いをします。
「もし願いをかなえて下さるのであれば、川向うから神社まで金属の橋をかけてご恩に報います」――。
そう念じながら祈願したところ、突然豪雨が降り出し、乾いた大地も一気に潤いました。
神秘の雨を前に、農民らが涙を流したと伝わります。
そんな歴史もあって、いまも地域に手厚く守られている意賀美神社。
地元の方の証言によると、2018年の台風による被害を受けた際には、どこからともなく「白装束の一団」が復旧支援に駆け付け、聖域の維持に力を注いだそうです。
歯痛にご利益!?井滝岩大明神(抱岩さん)
闇龗神を祭る拝殿の向かいに、大きな岩があります。
もともとは、意賀美神社のすぐ近く、崖の道のど真ん中にあった大岩で、地域の人たちが抱くようにして道を通り抜けた姿から「抱岩」(だきいわ)と呼ばれるようになりました。
道をふさぐ形で鎮座していたため、ときに谷に落ちて大けがをする人もいたのだとか。
この岩は、交通安全を祈る「井滝岩大明神」が宿ると信じられ、信仰の対象になっていたそうです。
道路の拡張工事に伴って、抱岩は現在の位置に据えられましたが、今度は「歯痛の神様」として信仰を集めるようになりました。
「龍神」「歯痛」という共通点からみて、戸隠神社の「九頭竜大神」とのゆかりがあるのかもしれませんが、その経緯は不明です。
いずれにしても、いまも茶葉を供えて歯の治療を祈る人の姿がみられ、ご利益もあるといわれています。
また、意賀美神社の最寄りのバス停、南海ウイングバス「宮の台」から参道を下っていくと、右手に岩滝大明神(抱岩さん)を祭るほこらがあります。
こちらもあわせてお参りするのがよさそうです。
ほかにも、意賀美神社の境内には滝不動などが安置されていて、お寺が混在していた時代の香りを残しています。
意賀美神社 闇龗神とは
意賀美神社にお祭りされる闇龗神(くらおかみのかみ)。
「おかみ」というのは、龍神様を指すワードです。
山に鎮まる龍神様は「高龗神」(たかおかみのかみ)といい、谷などにいらっしゃる龍神様は闇龗神と呼ばれています。
意賀美神社(龗神社)は全国にありますが、お祭りしている神様が「高龗神」だったり、「闇龗神」だったりと、場所によってまちまちなのはそのためです。
また高龗神と闇龗神は「一対の存在」という見方もあります。
実際、岸和田の意賀美神社にも、かつては高龗神を祭るほこらがありました。
また京都最強のパワースポットといわれる貴船神社も、本宮に高龗神、奥宮に闇龗神がお祭りされています。
一方、神話をひも解くと、闇龗神は「火の神の血から誕生した」というエピソードがあります。
伊邪那美命(いざなみのみこと)という女神様が、新しい神様を産んだととき、それが「火の神」だったため大火傷を負ってしまい、「黄泉の国」に旅立ってしまいます。
これに怒った夫の伊邪那岐命(いざなぎのみこと)は、火の神の首を剣で切り落としてしまいます。
剣には火の神の血がしたたりました。
この血が集まって生れたのが「闇龗神」だったそうです。
意賀美神社 駐車場&アクセス
意賀美神社には、無料の「駐車スペース」があります。
収容台数は2、3台程度といったところです。
国道170号「土生滝」の交差点を曲がったところにある「単車屋吉田」さんが目印となります。
単車屋吉田さんの右手の小道を入った先に砂利を敷いたスペースがあり、そこに駐車可能です。
鳥居のすぐそばです。
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車での行き方
- 阪和自動車道「岸和田泉IC」もしくは「貝塚料金所」下車、約10分
公共交通機関での行き方
- JR阪和線「東岸和田駅」から南海ウイングバス「白原車庫行き」乗車、「宮の台」下車すぐ
※バスは1時間に1本しかありません。
※帰りの便は午後4:00が最終でした(2月8日現在)
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意賀美神社 基本情報
- 住所:大阪府岸和田市土生滝町17
- 拝観時間:境内自由
- 無料駐車場:有
意賀美神社 まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は「雨降りの滝」で知られる意賀美神社を参拝しました。
パワスポ編集局では意賀美神社に関連する話題として「龍ゆかりの神社まとめ」や「大阪パワースポット11選」なども掲載しています。
今回のまとめは以下の通りです。
- 意賀美神社は、慈雨にすさまじい霊験を発揮してきた歴史がある
- 雨降りの滝は豪快というより優美
- そり立つ絶壁に覆われた滝つぼも美しい
- 神域に清涼感がある
- 歯痛にご利益があるとされる霊石がある
- 主祭神の闇龗神は水をつかさどる龍神様
- 谷など低い地点に鎮まることが多い
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後も内容を充実させてまいりますので、ご愛読の程、よろしくお願いいたします。