松尾大社は、境内に樹木の香りが漂う神社で、京都・嵐山では最強のパワースポットの一つに数えられます。
都会の喧騒から離れた急峻な山「松尾山」を背にする本殿と、霊亀(れいき)の滝の霊水が本物の聖地たる空気を確かなものにしています。
また松尾大社は、平安京からみた西の方角「白虎」を守る神域でもあり、厄災から都を守護する役割を担ってきました。
ほかにも、古代の信仰をいまに伝える「磐座(いわくら)登拝」などがあり、「いにしえからの聖地」としても見どころがたくさん。
口コミでは「雰囲気が素晴らしい」との意見が圧倒的に多く、「パワーをもらった」「出世した」「商売がうまくいった」などの報告も寄せられていました。
今回は、山の神でありながら「お酒の神様」としての信仰が厚い松尾大社について、ご利益や見どころ、お守り、御朱印、駐車場・アクセスなどの情報を紹介します。
※ただし、磐座登拝は2018年の台風による影響で、参拝できない状況が続いています。
「無期限停止」とされていますが、現地で確認してみたところ「復旧自体は進んでいる」とのことでした。
再開の時期については、まだ見通しが立っていません。
(2019年11月現在)
Contents
松尾大社 京都嵐山最強のパワースポット
松尾大社は、神社のカタチができるずっと前から、山の神を祭る聖域でした。
平安京が開かれてからは、都を厄災から呪術的に守る「西の砦」としての役割を担うようになります。
平安京は、風水からみると「四神相応の地」(ししんそうおうのち)と呼ばれる優れた地相にあり、四方を厄災から守る結界で固めていました。
玄武(北)は上賀茂神社、朱雀(南)は城南宮、青龍(東)は八坂神社といった具合に、「白虎の砦」として結界を張って守護したのが松尾大社というわけです。
この4社とともに、平安京の心臓部「朝堂院」を表現した「平安神宮」と合わせてお参りする「五社参り」の習わしがあります。
スタンプラリー形式で御朱印を集める専用の色紙も用意されていますので、興味のある方は挑戦してみてください。
5社のいずれかの神社で頂くことができ、初穂料は1000円。
京都の東西南北を守護する結界をくまなく巡ると、そのご利益も一段と大きくなるかもしれません。
松尾大社 主祭神とご利益
松尾大社のご利益は、出世・開運のほかに、土木建築、健康長寿、節酒祈誓、安産、縁結びなどとされます。
また水とのかかわりを強く印象付ける神社といえ、「お祓い」や「浄化の力」にも定評のあるパワースポットです。
ゴールデンウィークのさなかにあっても極端な混雑はなく、京都指折りの神社にして穴場的な魅力があります。
松尾大社の創建は、いまから約1300年前とされます。
大陸からやってきた秦一族が、もともとこの地の「守護神」として信仰されていた山の神様を「一族の神様」としてお祭りしたのが始まりです。
山の神様への信仰がはじまった時代にまでさかのぼると、松尾大社は「日本最古級の神社」になります。
秦氏は大陸仕込みの優れた「酒造りの技術」を持っていたため、松尾大社は山の神様としてでなく、「お酒の神様」として崇められるようになり、今日に至ります。
磐座に宿る「大山咋神」
古代から信仰を集めたこの神様、もともと秦氏がお祭りする前は、松尾山にある巨大な岩(磐座)のなかに宿っていました。
「大山咋神」 (おおやまぐいのかみ)といいます。
大山咋神は、素戔嗚尊(すさのおのみこと)の孫にあたる神様で、古事記では「松尾山大杉谷に降り立った」と伝えます。
この巨石は松尾山山頂付近に現存しており、昔は松尾大社の神職にしか許されなかった登拝も一般公開されています。
ただ、2018年7月の大雨による影響により、参道が倒木で塞がってしまい、磐座への登拝は現在中止されています。
いまのところ、再開の時期ははっきりしていませんが、復旧作業自体は進んでいるとのことでした。
(2019年11月現在)
神を宿す巨石 拝観にルール
松尾大社のなかでも聖地中の聖地といえる松尾山の磐座ですが、登拝には厳格なルールがあります。
- 入山を希望する人は、申込用紙に住所、氏名、電話番号を記入した後、受付に提出
- 「登拝許可証」と「小忌衣」(おみごろも)を受け取り、本殿に向かって右手の入口から入山
- PM4:00までに必ず下山報告し、携行品を返却
初穂料は大人1000円(2回目以降の登拝初穂料は500円)。
また登拝にあたり、禁止事項として以下の4つが義務付けられています。
- お正月期間や大祭当日は入山禁止
- 悪天候、野猿などの野獣出没時は入山禁止
- 登拝は2人以上で。単独登拝は禁止
- カメラの持ち込みは禁止(スマホ可、撮影は不可)
松尾山にはパワースポットが点在
磐座こそが松尾大社の聖地中の聖地ですが、道中には「亀の井」「霊亀(れいき)の滝」などのパワースポットが点在します。
とくに松尾大社の霊亀の滝では、かつて前足に占いのマーク、首と背には複数の星が描かれた「黄金の亀」がみつかっています。
この亀は朝廷に献上され、元号も「霊亀」(715-717)にあらためられました。
平成が令和に変わるぐらいのインパクトがあったわけです。
ちなみに「霊亀」の次は「養老」(717-724)となりますが、こちらの元号にも不思議な秘話が残されています。
また、滝のそばには「天狗岩」があり、見どころのひとつになっています。
松尾大社 見どころ
山の神様を祭る松尾大社の境内は、木々の香りに満たされた穏やかな神域で、「松尾の猛霊」と表現されるような荒々しさはありません。
落ち着いた清々しさをたたえる境内には見どころがいっぱいです。
ここでは、そんな一部を紹介します。
ちなみに、写真の鳥居に垂れ下がるのは、榊の小枝でつくった12束で、「脇勧請」(わきかんじょう)といいます。
これは鳥居の原始形式を示すもので、全部で12束。
月々の農作物の出来具合を占う太古の風習をそのままに伝えています。
本殿
松尾大社の本殿では、大山咋神と市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)を主祭神にお祭りしています。
市杵島姫命は、宗像三女神(むなかたさんじょしん)と呼ばれる一神で、海上守護への祈りを集める「水の神様」。
また、渡来人の秦氏が(朝鮮半島との交易を念頭に)お呼びした神様と言われます。
出世開運のほかに、酒造、開拓、治水、商業、文化などにもご利益があるそうです。
このほか市杵島姫命は、財運アップのご利益で知られる「弁財天」と同じ存在だと考えられています。
ちなみに、本殿を参拝する前に、祓戸大神(はらえどのおおかみ)を祭るほこらにお参りするのがご利益アップの秘訣です。
本殿に向かって右手、磐座登拝口のすぐそばにあります。
幸運の撫で亀 幸運の双鯉
松尾大社では亀と鯉の像を境内のあちこちで見かけます。
大山咋神が太古、山城丹波の国を拓くために保津川をさかのぼった時、急な流れは「鯉」に、緩やかな流れは「亀」に乗って進んだ伝承に由来します。
亀と鯉は眷属(神様のお使い)として崇められているわけです。
これにちなんで、御本殿正面門の左右両側に配置されているのが「幸運の撫で亀(なでがめ)」と「幸運の双鯉(そうり)」という像です。
「幸運の撫で亀」をなでると寿命長久、家庭円満、「幸運の双鯉」は出世開運、恋愛愛成就、夫婦円満のご利益があるとされます。
霊亀の滝と滝御前社
磐座登拝道の入口をくぐった先に、「霊亀の滝」と「滝御前社」があります。
霊亀の滝は、かつて「黄金の亀」の見つかったポイントです。
滝は流れが細く落差も小さいですが、不思議な逸話を残す場所だけに、とても雰囲気の良いところです。
また、滝の断崖には「天狗岩」と呼ばれる岩がありますので、現地の案内板を参考にしながら探してみると面白いです。
一方、「霊亀の滝」を背にして鎮座している滝御前社は、「罔象女神」(みづはのめかみ)をお祭りしています。
罔象女神は、万物の生成と育成をつかさどる水の女神で、水にゆかりの深い神社で見かける神様です。
松尾大社 末社
境内の末社は本殿の南側に向かって右から「衣手社」(ころもでしゃ)、「一挙社」(いっきょしゃ)、「金刀比羅社」、「祖霊社」の4社があります。
このうち「一挙社」(写真=右から2番目)は、困難にあっても真剣に祈れば聞き届けてくれるという一挙神を祭る末社で、この神様は「素戔嗚尊の別名」との説もあります。
さらに左奥にはプリミティブな標石が並んでいて、そのただならぬ気配に、松尾大社が太古からの聖地であることを感じさせます。
このほか本殿北側の御手洗川のそばに「四大神社」と「三宮社」が、また「霊亀の滝」の前には「滝御前社」があります。
相生の松
もともと「相生の松」として信仰を集めたご神木です。
「恋愛成就・夫婦和合」のご利益に、信仰が集まっています。
昭和30年代初頭に一度は枯れてしまったものの、昭和47年にあらためて「神様の啓示」を受けてお祭りされました。
そんな神秘的な歴史のある御神木だけに、ご利益にも期待できそうです。
樽占い(お守り授与)
樽の的に矢を当てて吉凶を占う松尾大社の楽しいアトラクション。
樽の的に向かって矢を射る、いわば運試しです。
一発でど真ん中を射止める子どももいるとか。
チャンスは3回。
真ん中、枠外、枠内でもらえるお守りが変わります。
赤い枠内だと以下の開運ストラップ。
赤、青、緑の三色から選べます。
動かすと、神様の眷属である亀と鯉の姿が交互にあらわれます。
初穂料は500円。
家族やカップル、友達同士でも楽しめそうです。
松尾大社 御朱印
松尾大社の御朱印です。
初穂料は300円。
拝殿の向かいにある授与所で頂けます。
管理人は平日に訪ねたのですんなり頂けましたが、祝日や大祭は混雑の恐れもあります。
松尾大社 御朱印帳
松尾大社のオリジナルの御朱印帳です。
シルバーに近い白を基調としたシンプルなデザインで、右上に神紋の二葉葵(ふたばあおい)をあしらい、表紙全体に酒樽が描かれています。
裏面には松尾大社の文字が記されています。
初穂料は1500円。
松尾大社 基本情報
松尾大社は、すぐそばに阪急「松尾大社駅」があるので、アクセスは便利です。
ここからずっと東へと進むと、松尾大社と向き合うように鎮座している「八坂神社」にぶつかります。
- 住所:京都府京都市西京区嵐山宮町3
- 電話:075(871)5016
- 参拝時間:AM9:00~PM4:00(※日曜・祝日はPM4:30)
松尾大社 駐車場&アクセス
松尾大社には収容台数100台の無料駐車場があります。
一の鳥居を抜け、石畳を進んだ左手に「第三駐車場」、脇勧請を吊るした鳥居を左折したところに「第二駐車場」、さらに奥を右折したところに「第一駐車場」があります。
駐車時間は1時間以内、PM5:00を過ぎると施錠されるので注意が必要です。
電車での行き方
- 阪急嵐山線「松尾大社駅」下車、徒歩約3分
バスでの行き方
JR京都駅~
市バス・嵐山大覚寺行き、もしくは京都バス・苔寺行きに乗車、バス停「松尾大社前」下車
(所要時間約40分)
車での行き方
大阪方面~
- 京都縦貫道「大原野IC」下車、約15分
東京方面~
- 名神高速「京都南IC」下車、約20分
MAP
松尾大社 まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は松尾大社を紹介しました。
「とても落ち着いた雰囲気のいい神社」という評判が多いですが、まさにその通り。
敬けんな気持ちで参拝するのにおすすめの神社といえ、パワースポットとしてもかなり魅力的なポイントでした。
そのあたりの情報は、磐座拝観への道が開通したときに、また詳しく紹介したいと思います。
- 松尾大社は嵐山最強といえるパワースポットの一社
- 白虎の方角を守る聖域でもある
- ご利益の大きさは口コミでも評判
- 松尾山の磐座への登拝は大雨の影響で中止されている(2018年7月末現在)
- いたるところに亀と鯉の像があり、触るとご利益がある
- 本殿参拝前に祓戸大神への参拝を
- 末社の一挙社は悩みを一挙に解決するご利益があるとされる
- 家族や友達と的当てを楽しんだ後にお守りが頂ける「樽占い」がある
- オリジナル御朱印帳のデザインが素晴らしい
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後とも内容を充実させてまいりますので、よろしくお願いいたします。