片埜神社(かたのじんじゃ、大阪府枚方市)は、「鬼の力」で鬼門を封じるパワースポットで、大阪城からみた「鬼門の方角」に鎮座しています。
片埜神社の歴史は古いものの、大阪城を築城するときに「鬼門封じの社」として建て直され、その後、豊臣家に繁栄をもたらしました。
実際、「より強い鬼をもって外の鬼を制する」という考え方で、片埜神社には「巨大な鬼の面」が配置されています。
これが、「結界としての役割を果たしている」と伝わります。
また片埜神社の節分祭では「福は内、鬼は内」と豆をまき、「善い鬼」がとどまるように祈願するのだとか。
これは奈良の天河弁才天などと同じスタイルです。
今回は、そんなゆえんから「厄除け」「方除け」(ほうよけ=悪い方角からくる影響を取り除く)の信仰が寄せられる枚方のパワースポット「片埜神社」に行ってきました。
その歴史や見どころ、お守り、御朱印などもまとめて紹介します。
Contents
片埜神社【神様・ご利益・歴史】
片埜神社は、規模としては小さいですが、朝廷から正式に認められた由緒ある神社です。
片埜神社は、京都の「城南宮」、大阪・堺の「方違神社」に並ぶ「方除三社」の一社に当たります。
本殿にお祭りされている神様は、厄災の象徴「ヤマタノオロチ」を退治した「素戔嗚尊」(すさのおのみこと)、学問の神様「菅原道真」(すがわらのみちざね)をはじめとする11柱。
ご利益は開運、厄除、方除、病難除、受験合格、学業向上、受験合格、縁結びなどです。
創建は「紀元前」の相撲がきっかけ
創建は2000年を超えるはるか昔にさかのぼります。
出雲の豪族「野見宿禰」(のみのすくね)という人が、垂仁(すいにん)天皇の命令で、当時の勇者「当麻蹴速」(たいまのけはや)という人と相撲を取り、見事に勝ちました。
いにしえの相撲は神事でした。
そして、これに勝ったご褒美も大きく、野見宿禰にはこのエリア一帯が与えられました。
野見宿禰は、ここに出雲の祖神「素戔嗚尊」をお祭りします。
それが後に「片埜神社」となりました。
往時、広大な神域と壮大な社殿を抱えていた片埜神社ですが、戦国時代の騒乱で荒廃してしまいます。
これを建て直したのが、農民から天下人となった「豊臣秀吉」でした。
豊臣秀吉が再建 鬼門守護の社に
鬼門というのは邪悪な存在が忍び寄る悪い方角のことで、「北東」を指します。
時の権力者らはこれを嫌い、城や都の北東に結界となる神社・仏閣を建てました。
たとえば平安京では「比叡山延暦寺」が鬼門を守護する形をとっています。
そんなイメージで、大阪城にも、鬼門を守る拠点が必要だったわけです。
大阪城からみた北東のライン上にある、結界を張れるような強力なパワースポットはどこかにないか――。
豊臣秀吉が目を付けたのが「片埜神社」でした。
豊臣秀吉の没後もその意志は受け継がれ、息子・秀頼の代で片埜神社は以前の輝きを取り戻します。
大阪城天守閣北東の石垣には、片埜神社に向き合う形で「鬼」が彫り込まれていましたが、残念ながら現存していません。
片埜神社 「結界」の秘密と見どころ
片埜神社は、「蛇の道はヘビ」といわんばかりに鬼がいっぱい。
大阪城天守閣と片埜神社はいまも一直線に並んでいて、鬼門封じの歴史を物語ります。
ただ、大阪城の鬼門鎮守の結界は、実は3重に巡らされています。
特に重要な拠点を守る片埜神社が別名「一之宮神社」といわれるのもそのためです。
残り2つの結界を張っているのは、鬼門のライン上にある「二ノ宮神社」(にのみやじんじゃ、枚方市)と、少しそれた位置にある「三之宮神社」(さんのみやじんじゃ、同)です。
実は二ノ宮神社、「願望成就のパワースポット」の穴場として知られ、静ひつな神気が漂う素晴らしいおすすめの神社です。
本殿
豊臣秀頼の代で再建が叶った片埜神社の本殿。
朱漆塗り、極彩色と装飾金具の美しい社殿です。
お祭りされているのは、素戔嗚尊、縁結びの神様「櫛稲田姫命」(くしいなだひめのみこと)、方位の神様「八島士奴美命」(やしましぬみのみこと)、菅原道真公ら11柱の神様。
国の重要文化財に指定されています。
依姫社(よりひめしゃ)
依姫社は、水を司る神様「玉依姫命」(たまよりひめのみこと)と「市寸嶋姫命」(いちきしまひめのみこと)、出雲の神様「大国主命」(おおくにぬしのみこと)の3柱をお祭りしている末社です。
玉依姫命と市寸嶋姫命は、片埜神社のほど近くにある「淀川」とのかかわりからお祭りされているものとみられます。
とくに玉依姫命は初代天皇「神武天皇」の母君に当たります。
神様になる前、大阪湾から淀川、賀茂川、貴船川をさかのぼり、貴船神社の「霊泉」をみつけた方で、いまは下鴨神社や貴船神社奥宮の主祭神としてあがめられています。
アテルイとモレの石碑
片埜神社に隣接する「牧野公園」には、古代東北エリアの軍事指導者「アテルイ」(阿弖流為)と母「モレ」の石碑があります。
牧野公園はもともと片埜神社の敷地で、「アテルイの首塚」があった場所とされます。
しかしいまは、投降したアテルイを救おうとした坂上田村麻呂の物語にちなみ、「友情のパワースポット」になっています。
また、片埜神社でも友情と縁結びのご利益が詰まった「アテルイのお守り」が授与されています。
片埜神社 お守り「鬼面」
片埜神社でおすすめのお守りは鬼面です。
鬼門から入ってくる鬼を「より強い鬼」で制すものです。
初穂料は800円。
この鬼面を「北東」に向けてお祭りします。
南向き、東向きでもいいそうです。
ちなみにアテルイのお守りも800円です。
片埜神社 御朱印
片埜神社の御朱印です。
片埜神社のトレードマークである鬼をあしらった珍しいタイプです。
初穂料は300円。
授与所ですぐにいただけます。
片埜神社 駐車場について
片埜神社には無料の駐車場があります。
駐車スペースはざっとみたところ、20台ほどです。
穴場の神社だけに混雑はありません。
ただ、細い路地を抜ける必要があるので、運転には注意が必要です。
駐車場に続く路地の入口は「洋菓子 パン カステラ コーヒー」と書かれた赤い看板が目印です。
片埜神社 基本情報&アクセス
- 住所:大阪府枚方市牧野阪2-21-15
- 電話:072(857)7775
- 拝観時間:境内自由(授与所はPM4:30まで)
電車での行き方
- 京阪「牧野駅」下車、徒歩約5分
車での行き方
東京方面~
- 京滋バイパス「久御山淀IC」下車、約20分
大阪方面~
- 阪神高速守口線「守口IC」下車、約30分
MAP
片埜神社 まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、鬼が守護する方除の社「片埜神社」を紹介しました。
まとめは以下の通りです。
- 片埜神社は鬼が守護する枚方のパワースポット
- 鬼門鎮護への信仰から豊臣秀吉が建て直した
- 厄除・方除として信仰を集める
- 小さいが由緒のある神社
- 大阪城を守護する「最後の結界」が張られている
- アルテイにまつわる友情のパワースポットが近くにある
- 鬼面のお守りがおすすめ