大豊神社(おおとよじんじゃ、京都市左京区)は、京都の観光名所「哲学の道」の南端近くに鎮座する穴場的な神社で、京都で唯一、狛犬ならぬ「狛鼠」(こまねずみ)がいることで知られます。
その歴史の源流をたどると、本殿背後の霊山を崇拝する「いにしえのパワースポット」としての側面が見え隠れします。
最近では、ふと立ち寄った外国人観光客を魅了する「憩いの場」としても定着し始めました。
大豊神社の境内には「狛ねずみ」のほかに、「狛猿」、「狛鳶(とび)」、「狛狐」、さらには金運アップの「狛巳(へび)」などもあります。
開運招福をもたらす「鼠のお守り」は、2020年の干支でもある「子年」(ねずみどし)の人におすすめです。
今回は、「ねずみの社」といわれる大豊神社を取材しました。
狛鼠のいる場所や見どころ、歴史、お守り、御朱印などの基本情報とともに、アクセスや駐車場などの詳細をまとめました。
Contents
大豊神社 神様とご利益は?
大豊神社の本殿にお祭りされる神様は、医薬の神様「少彦名命」(すくなびこなのみこと)、学問の神様「菅原道真公」(すがわらのみちざねこう)、勝運の神様「応神天皇」(おうじんてんのう)の3柱。
そのため大豊神社では、「病気平癒」「福徳長寿」「学業成就」「ビジネス成功」「勝運アップ」のご利益がうたわれています。
参拝時間は30分もあれば十分です。
ちなみに、狛鼠のいる場所は、本殿とは別のところ。
「大国社」という小さなお社の手前です(後段に詳細)。
大豊神社はもともと、背後の「椿ヶ峰」を神様としてあがめる「いにしえからのパワースポット」でしたが、887年、宇多天皇の病気平癒を祈願するため、いまの場所にあらためて社殿がつくられました。
このときにお祭りされたのが「少彦名命」だったと伝わります。
大豊神社はこの地一帯の守り神として、お寺からも崇敬を集めました。
京都市内にある神社の本殿は、「南向き」が基本となりますが、大豊神社はイレギュラーな「西向き」。
これは天皇の「病気平癒」を強く意識し、御所の方角に向けられているためです。
また、神体山を背にする構図は、古い山霊崇拝の名残ともいえます。
大豊神社 大国社と狛ねずみのいわれ
有名な「狛鼠」があるのは、本殿に向かって右手、「大国社」と呼ばれる末社です。
大国社では、縁結びの神様「大国主命」(おおくにぬしのみこと)がお祭りされています。
有名なパワースポットにたびたび登場する神様で、「大物主大神」(おおものぬしのおおかみ)「大己貴命 」(おおなむちのみこと)など、さまざまな別名を持っています。
境内には「良縁招福の石」という不思議な岩もあります。
いわれの分からない「磐座」(いわくら)となるため、むやみに触ったり、座ったりしない方が無難です。
そもそも、大国社に狛鼠が配置されているのは、なぜでしょうか。
それは、鼠が大国主命のお使い(眷属)に当たるためです。
日本最古の歴史書「古事記」のなかで、鼠は、大国主命が火攻めにあったときに、洞窟にかくまい命を救った存在として描かれています。
また大国主命は、外国からきた神様「大黒天」と同一の存在とされますが、実は大黒様のお使いもまた「鼠」といわれます。
大国社に狛ねずみが置かれるようになったのは、いまから40年ほど前のことで、歴史的にはそんなに古くはありません。
右の鼠は学問をあらわす巻物、左側は豊穣や薬効を象徴する水玉を抱えています。
地元では、「子だくさんの鼠」という意味合いから、「子授け」の信仰が寄せられています。
大豊神社の宮司さんも「願いを叶えた多くの方が、お礼参りにやってこられる」と話していました。
大豊神社 椿ヶ峰の御神水
いにしえからのパワースポットに足を運んだおりに、忘れてならないのは「御神水」の存在です。
大豊神社の手水舎にも、かつて信仰の対象となった霊山「椿ヶ峰」から注ぐ霊水が使われています。
往時は、身も心も清める「天の真清水」(あめのましみず)として神聖視されました。
宮司さんいわく、飲用も可能だそうですが、あくまでも自己責任で。
また、古くから神聖視されてきた霊水だけに、「邪気払いの効果」にも期待できそうです。
大豊神社 猿 鳶 狐 蛇の像
大豊神社の特徴として、大国社の「狛鼠」が挙げられますが、ほかにも「狛猿」「狛鳶」「狛狐」「狛巳」が鎮座しています。
ほかにも、境内をくまなく探せば、さまざまな動物の姿が(写真上)。
ここでは、各社のご利益とともに、それぞれ像の「いわれ」をまとめました。
日吉社 狛猿
狛猿があるのは、「日吉社」というお社。
災難除けのご利益がうたわれています。
本家の「日吉大社」(ひよしたいしゃ、滋賀県大津市)では、「魔が去る」「勝る」などの意味合いから、猿を神様のお使いとして大切に育てています。
大豊神社の狛猿も、そこからきています。
愛宕社 狛鳶(とび)
「鳶」(とび)という珍しい眷属をかたどった像があるのは、「愛宕社」というお社。
ここでは、火難除け(防火)のご利益がうたわれています。
愛宕山山頂にある本家の愛宕神社(あたごじんじゃ、京都市右京区)は「猪ゆかりの神社」として知られるため、「なぜ鳶なのか」と、不思議に思う人もいるかもしれません。
大豊神社の先代の宮司さんが伝える話では、「愛宕山の上空を旋回する鳶(とび)は、かつて神様の使いと見なされていた」そうです。
美田稲荷社 狛狐
狛狐が鎮座するのは、いわゆるお稲荷さん「美田稲荷社」。
いうまでもなく、ご利益は商売繁盛です。
お稲荷さんに鎮座する像は、単なる狐ではなく「白狐」となります。
天神信仰や八幡信仰など、数ある神社の中でも「稲荷神社」が日本最多となり、お寺のなかにある稲荷神社も少なくありません。
狛巳(へび)
お社を持たずに、独立した形で鎮座している「狛巳」(へび)。
龍のモデルともいわれる蛇は、金運アップの象徴でもあります。
奈良の大神神社同様、蛇は「神様の化身」として捉えられることもあり、ひとつの信仰の対象になっています。
金運アップを求める方は、大豊神社を参拝したおりに、ここで願掛けを。
大豊神社 御朱印
大豊神社の御朱印です。
初穂料は400円と割合レアな設定。
ほかにも2種類あります。
平日だったため、ほとんど待ち時間はありませんでした。
社務所ですぐに頂けます。
大豊神社 お守り
大豊神社でおすすめのお守りは「鼠の御守り」。
ストラップタイプになっていて、初穂料は800円。
特徴がはっきりしているため、お土産にも打ってつけ。
とくに子年生まれの方におすすめです。
大豊神社 四季折々の草花も
「椿の名所」ともいわれる大豊神社は、四季折々の草花もみどころです。
さまざまな椿をはじめ、樹齢300年の枝垂れ紅梅や紫陽花など、四季の移り変わりとともに咲き乱れる花々が訪れた人の目を楽しませています。
また、立派なご神木も見逃せません。
境内はまさに癒しの空間。
京都の町の喧騒から逃れ、多くの観光客がここで一息つくのも納得です。
大豊神社 近くにこんなパワースポットも
大豊神社の周辺には、おすすめの神社がほかにもたくさんあります。
「パワースポット」として記事にしている寺社もありますので、あわせて参考にしてください。
⇒京都穴場のおすすめパワースポット「日向大神宮」の詳しい情報はこちら。
大豊神社 駐車場&アクセス
「哲学の道」のほど近くにある大豊神社ですが、無料駐車場も完備されています。
駐車スペースは5台程度です。
公共交通機関での行き方
- 市バス「東天王町」から徒歩10分、もしくは市バス「宮ノ前町」から徒歩5分
※JR京都駅~バス停「京都駅前」から「市営100」、バス停「宮ノ前町」下車、徒歩3分
※京阪「神宮丸太町」、地下鉄「三条京阪」近くのバス停よりアクセス可
※徒歩の最寄り駅は地下鉄東西線「蹴上駅」、約23分
車での行き方
- 名神高速「京都東IC」下車、約15分
- 阪神高速「山科出入口」下車、約20分
MAP
大豊神社 基本情報
- 住所:京都市左京区鹿ヶ谷宮ノ前町1
- 電話:075(771)1351
- 拝観時間:境内自由
大豊神社 まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はねずみの社、大豊神社をご紹介しました。
大豊神社に足を運ばれた方は、
まとめは以下の通りです。
- 大豊神社は京都では珍しい「狛鼠」が鎮座している
- 京都の観光名所「哲学の道」のほど近くに位置する
- 子年生まれの人におすすめ
- 本殿には医薬、勉学、勝運の神様が鎮まっている
- 猿や鳶(とび)、巳(へび)の像もある
- 狛鼠は子授かりの信仰も寄せられている
- 神体山から注ぐ霊水も見逃せない
- 御朱印は400円と珍しい価格設定に
- ストラップ型の鼠の御守りがある
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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