そもそもパワースポットとは何か。
そんなことをいちいち考える必要はないのかもしれませんが、一言でまとめると、自分の内側、外側で見えない力が働く場所の「総称」です。
「自由業」というカテゴリーに弁護士から芸術家まであるのと同じで、「気の充満している場所」だとか、「神様の鎮まるところ」だとか、「大地のエネルギーが噴出する地点」だとか、一つに絞り込むことはできません。
パワースポットという言葉を聞いて、連想するイメージにも人によってばらつきが出るはずです。
- ラッキーになれる気持ちのいいところ
- 信念に軸が立つ神聖な場所
- 自然の力でパワーがチャージできる非日常の空間
- 運命が好転する神域
それは、ひとつの信仰の姿であり、旅のスタイルであり、新たな文化の形でもあります。
まあ、ここまで語っておいて何ですが、そもそもパワースポットを定義づけるのは「豊かさを科学する」ぐらいナンセンスなのかもしれません…。
今回はさらっとまとめましたので、どうか最後までお付き合いください。
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【パワースポットの意味】昔は決まっていた!?
パワースポットという言葉は、スプーン曲げで脚光を集めた「清田益章さんによる造語」という説が有力視されています。
ただ、1991年に清田さんが自身の著書で紹介する以前から、パワースポットという言葉は使われており、1986年に発行された「現代用語の基礎知識」にも掲載されています。
この分厚い百科事典をひも解くと、何やら難しいことが書かれていましたが、ようするに当時は「宇宙の精気や霊力の凝集する聖地」を指したようです。
つまり、パワースポットというのは、最初は意味が決まっていたわけです。
【パワースポットの意味】言葉は生きている
ただ、パワースポットは「宇宙の精気や霊力の凝縮する聖地」なのかといえば、一般的にそうした使われ方はしていません。
実際、神仏への祈りの場も、癒しの効果をもたらす大自然も、代表的なパワースポットの「対象」です。
ではなぜ、途中で意味が変わってしまったのか。
それは「ガチガチ」だった言葉も、皆が使っているうちに、なじみやすい形に変わっていったためです。
日本人の宗教観や時流などにあわせて徐々に洗練されていき、便利で深い意味を持つところに落ち着いたイメージです。
つまり、誰かがつくったのではなく、皆でつくったというのが正解です。
もっとも、言葉というのは姿を変える生き物です。
新しく生まれたり、使われなくなったり、真逆の意味を持つようになったり。
たとえばペアルックという昭和の表現は、「おそろい」や「双子コーデ」にその座を奪われ、また、ヤバいという言葉は「凄すぎる」の意味でも使われるようになりました。
パワースポットも、あいまいさを共有するのが上手な日本人特有の感覚で使っていくうちに、かゆいところに手の届く「便利な表現」に磨き上げられたというわけです。
【パワースポットの意味】しっくりくる絶妙の距離感
実際、パワースポットというフワッとした言葉は、神様との距離感が曖昧(あいまい)な日本人の感覚に、とてもしっくりくる表現です。
- 神様のことはあまり信じないけど、何らかの見えない力はあると思う
- 信仰心はそんなにないものの、本当に困ったときは神様にすがる
- 一応無神論者だが罰当たりなことはできない
神様や見えない世界との距離が曖昧(あいまい)だからこそ、パワースポットという言葉もすんなりと受け入れられるわけです。
またパワースポットは、言葉の響きも「ほどよい軽さ」を保っています。
「霊験」ほどの固さも、「スピリチュアル」ほどの重さもないニュアンスで、日本人の「見えない力にまつわる世界観」に相容れます。
【パワースポットの意味】まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、パワースポットとは何かについて、あらためて書いてみました。
まとめは以下の通りです。
- パワースポットに明確な定義はない
- 強いて言うならば見えないプラスの力が作用するところ
- 元は宇宙の精気や霊力の凝縮する聖地という意味だった
- 言葉は時代によって変わる生き物
- 神様との距離感が曖昧な国民性が生んだ言葉ともいえる
- 霊験やスピリチュアルにはない程よい軽さを持つ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
引き続きご愛読の程、よろしくお願いいたします。