城南宮(じょうなんぐう、京都市伏見区)は、京都の町を厄災から守護する「京都5社」の一社で、方除(ほうよけ)や厄除けのご利益で人気のパワースポットです。
方除というのは、「悪い方位」がもたらす影響を取り除くもので、城南宮には、建物の工事や引っ越し、通勤や旅行などを予定している参拝者がやってきます。
また城南宮は、厄除け・厄払いとともに「交通安全」で知られ、とても広い車のお祓い所があります。
実際、京都市内では「城南宮のステッカー」を貼った車が走っているのをよくみかけます。
一方、城南宮にお祭りされているのは、国常立尊(くにのとこたちのみこと)をはじめとする3柱の神様で、「人間関係を円満にする」との信仰も根強く残っています。
今回は、平安京の南方を守護する「城南宮」を訪ねました。
ご利益やお守り、御朱印、駐車場・アクセスなどをまとめてご紹介します。
Contents
城南宮の歴史と秘密~京都五社~
城南宮は、鴨川と桂川の合流点にあるいにしえからの聖域で、もともとは「地域の神様」が鎮まるパワースポットでした。
そのため、城南宮が創建された時代は分かっていません。
ただ、都を守護する神社として、今の3柱の神様がお祭りされた時期ははっきりしていて、桓武天皇による「平安京の開都」に重なります。
いまから1200年ほど前のことです。
桓武天皇は、中国の風水や陰陽道(おんみょうどう)に精通しており、この地が「四神相応の地」(しじんそうおうのち)に適した盆地になっていることに着目しました。
四神相応の地というのは、背後に大きな山が控えるすり鉢状の盆地です。
独自の改良を加えた「安倍晴明版」はもう少し条件が具体的になりますが、ここでの詳細説明は割愛します。
いずれにしても、東西南北を霊獣で守護する布陣によって、呪術的な効果が高まり、町の繁栄が約束されるという考え方です。
「城南宮」は平安京からみて「南の方角」にあり、朱雀の拠点に割り当てられています。
北(玄武)は上賀茂神社、東(青龍)は八坂神社、西(白虎)は松尾大社がそれぞれ守護しています。
これらの神社は、平安神宮を合わせて「京都五社」と呼ばれています。
城南宮 神様と方除
城南宮の本殿にお祭りされてい神様は、国常立尊、息長帯日売命(おきながたらしひめのみこと=神功皇后)、八千歳神(やちほこのかみ=大国主尊)の3柱。
国常立尊は「国土の守護神」、八千矛神と神功皇后は「戦いに秀でた神様」で、「平安京の守護」を念頭に降りてきて頂いたイメージです。
とくに国常立尊は、世界が誕生するときに最初に現れた根源神で、悪霊退散の力を宿す「玉置神社」(奈良・十津川村)の主祭神としても知られます。
ただ3柱の神様は、方除(ほうよけ)とはあまり関係がないようにみえます。
ではなぜ城南宮が「方除の大社」として崇(あが)められるになったのでしょうか。
城南宮の神職の方に聞いてみたところ、「方除の大社」としての信仰がはじまったのは、800年ぐらいのことだそうです。
つまり、この聖域が「城南宮」と呼ばれるようになった、ずっと後になります。
後鳥羽上皇とのゆかり
城南宮が「方除けの大社」と呼ばれるに至ったきっかけは、「後鳥羽上皇」の熊野詣(くまのもうで)にあります。
和歌山の山中にある熊野エリアは、当時日本最強のパワースポットとして認められた聖地中の聖地で、参道を含めて世界遺産に登録されています。
10カ月に一度のペースで熊野に通った後鳥羽上皇は、熊野詣に向かう前に、必ず城南宮に立ち寄り、旅の無事をお祈りしていました。
城南宮への参拝目的は、悪い方位から出発するのを避ける狙いとともに、「みそぎ」にあったとみられます。
実際、往復約1か月に及ぶ後鳥羽上皇の旅の安全は、毎回、守られました。
こうしたご利益の実績が積み重なり、皇室の崇敬を受ける中で、万人から「方除の大社」と仰がれるようになったわけです。
城南宮 菊水若水(きくすいわかみず)
城南宮は、歴史に残す位置づけと実績からすると、いわゆる「清め」「浄化」「鎮め」のパワースポットとみて間違いありません。
上賀茂神社、八坂神社、石清水八幡宮など、厄災を退ける役割を担うパワースポットには、得てして霊水があるものですが、城南宮には伏見八名水のひとつ、「菊水若水」(きくすいわかみず)があります。
この水を飲むとあらゆる病気が治るとされ、お百度を踏んで持ち帰り、病人に飲ませる習慣もあったようです。
「菊水若水」は手水舎で利用されており、いまでも霊水の持つ不思議な力を求めて、この水を持ち帰る風習が受け継がれています。
京都には、とくにこうした名水がたくさんありますので、興味のある方はぜひ個別記事もお読みください。
城南宮 見どころ
城南宮は、神苑「楽水苑」を拝観しない限り、見どころは限られます。
ただ車だと、ほんの少し足を延ばせばすぐに京都の市街地に出られ、10~15分のところには伏見稲荷大社や寺田屋などもあります。
それ以上におすすめなのは「京都五社巡り」。
その一環として城南宮を訪れるのなら、ご利益と楽しさが倍増するのではないでしょうか。
また、末社の真幡寸神社(まはたきじんじゃ)も見逃せません。
御祭神は真幡寸大神と応神天皇。
「城南宮」になる前からあった霊験あらたかな神社で、地元のみならず、朝廷からの崇敬も集めていたと伝わります。
聖地の原点はこちらにあるといえます。
本殿
国常立尊、息長帯日売命、八千歳神の3柱をお祭りしている社殿です。
国常立尊は開運厄除、出世、悪霊退散、息長帯日売命は家内安全、安産、八千歳神は縁結びなどのご利益が頂けるとされます。
社殿は、平安時代の建築様式を取り入れて、本殿・前殿・向拝(こうはい)・翼廊が一体とした形になっており、昭和の時代に建て替えられました。
鳥居に「三光の御神紋」
城南宮のご神紋は、太陽と月と星をかたどる「三光の御神紋」。
由来は、ご祭神の神功皇后の御座船の旗印にあるそうで、あまねく輝きわたる方除のご利益をあらわしています。
鳥居には三光の御神紋とともに、皇室の菊の御紋が輝いています。
一寸法師にゆかり
一寸法師はお椀の舟に乗って都を目指し「鳥羽の津に着いた」と江戸時代に刊行された御伽草子(おとぎぞうし)に書かれています。
この鳥羽の津というのは、城南宮のすぐそば、舟の港のあった場所です。
つまり城南宮の鎮座する地は「一寸法師ゆかりの地」。
これにちなみ、城南宮では、一寸法師をモチーフにしたお守りなどが提供されています。
ちなみに、御伽草子というのは挿絵入りの短編小説。
一寸法師のストーリーも一般的に知られる昔話とは少し異なります。
また、一寸法師のモデルは、医療の神様「小彦名命」(すくなひこなのみこと)をモデルにしたとの説もありますが、城南宮にはお祭りされていません。
城南宮 お守り
城南宮のお守りの中でおすすめは、八角形の方位盤をかたどった「方除御守」です。
悪い方位がもたらす影響から人を守護するもので、一つひとつ祈祷されています。
赤、紺、黄色の3色あり、初穂料はそれぞれ800円。
表面は朱雀の姿。
裏面は方位盤が描かれており、真ん中にご神紋をあしらっています。
城南宮 御朱印
城南宮の御朱印です。
初穂料は300円。
期間によって変わります。
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城南宮 神苑「楽水苑」
楽水苑は、「春の山」「平安の庭」「室町の庭」「桃山の庭」「城南離宮の庭」の5つのテーマ別につくられた神苑です。
しだれ梅や桜、藤、つつじ、紅葉と四季折々の景色が楽しむことができます。
入苑料として別途600円(大人)が必要になります。
城南宮 ご利益&基本情報
城南宮の主祭神とご利益、住所などの基本情報は以下の通りです。
正確性には万全を期していますが、詳細な情報は直接神社にお問い合わせください。
御祭神 | ご利益 |
国常立尊 息長帯日売命 八千歳神 | 方除 厄除け 交通安全 開運 その他 |
- 住所:京都市伏見区中島鳥羽離宮町7
- 電話:075(623)0846
- 参拝時間:境内自由
神苑拝観料
拝観料:大人600円、子供400円(中学生以下)
閉開門時間:AM9:00~PM4:30
※受付はPM4:00まで
城南宮 駐車場&アクセス
城南宮には無料の駐車場があります。
収容台数も200台と、比較的ゆとりがあります。
神事や催事がない限り、混雑の心配もなさそうです。
また、城南宮は名神高速道路「京都南IC」のすぐそばにありますので、車でのアクセスも便利です。
電車での行き方
(近鉄・京都市営地下鉄)竹田駅~
- 徒歩約15分
- 市バス約5分(城南宮東口下車)
- タクシー3分(初乗り運賃)
JR京都駅八条口~
- 京都らくなんエクスプレスREXバス
※平日と祝日でルートが変わるため、降りるバス停が異なります
<土日祝>
⇒バス停「城南宮前」下車、徒歩約1分
<平日>
⇒バス停「油小路城南宮」下車、徒歩約5分
- 京都市バス(19系統)バス停「城南宮」下車、徒歩2分
車での行き方
- 名神高速道路「京都南IC」下車、すぐ
MAP
城南宮 まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、方除の大社「城南宮」をご紹介しました。
パワスポ編集局では、京都五社を効率よくめぐる方法や厄除け・厄払いで有名な神社などのまとめ記事も掲載しています。
興味のある方はぜひ参考にしてください。
また、方除けのご利益をうたう全国屈指の神社は大阪にあります。
城南宮のまとめは以下の通りです。
- 城南宮は方除・厄除けのパワースポット
- 京都の町の南側「朱雀」を守護する聖域
- 城南宮には万病に効く霊水「菊水若水」がある
- 平安京ができる1200年以上前から聖地だった
- おすすめのお守りは「方除御守」
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
内容を充実させてまいりますので、ご愛読のほど、よろしくお願いいたします。