太郎坊宮(たろうぼうぐう、滋賀県東近江市)ははるか遠い昔から、宗教の垣根を超えて人々の注目を集めてきた「別格のパワースポット」です。
太郎坊山と呼ばれる聖山の上に立っていて、本殿のそばにある巨大な岩の回廊「夫婦岩」(めおといわ)は「パワーが頂ける」「願い事が叶う」といわれます。
また太郎坊宮では、全国でも珍しい神様をお祭りしており、「勝運のご利益」を求めてトップアスリートらが参拝にやってきます。
その一方で太郎坊宮には、瞑想修行などにまつわる「玄人向けのポイント」などもあり、実はとても奥が深くミステリアスな神社である点はあまり知られていません。
今回は、八日市のほど近く、聖徳太子や天台宗の開祖「最澄」らも熱い視線を注いだ特別な場所「太郎坊宮」に行ってきました。
見どころや御朱印、アクセス、駐車場情報などを含めて、その魅力をまとめてご紹介します。
Contents
太郎坊宮 いにしえの聖山に立つ
太郎坊宮のある「太郎坊山」は、古代の人たちが神様とつながった場所で、自然崇拝の祭祀場や神社、お寺などが混在しています。
つまり太郎坊山は、大昔からずっと注目を集めてきた一級のパワースポットといえます。
山そのものを神様としてとらえる信仰のカタチがいまも残っていて、巨岩がそびえる光景は圧巻です。
ちなみに、奈良最強のパワースポット「大神神社」では、三輪山を「神の鎮まる場所」として崇めていますが、構図はこれとほぼ同じ。
太郎坊山にも、山頂やふもとにノスタルジックでスピリチュアルな巨岩が祭られていて、とても神秘的な空間を形作っています。
太郎坊山は、正式名称「赤神山」(あかがみやま)といい、太郎坊宮の本殿はその中腹に位置します。
本殿の参拝は、ふもとから742段を数える石段を上って行くことになり、道中、いくつか見どころがあります。
ただ、結構急な階段になりますので、体力に自信のない方は、境内中腹にある駐車場まで車でショートカットする手段も選べます。
太郎坊宮 神様とご利益
太郎坊宮の神様は、「正哉吾勝勝速日天忍穗耳尊」(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)という神様。
そのお名前は「日が昇るようにスピーディーに、常に勝利が約束された神様」を意味し、古くから「勝運のご利益がすぐにあらわれる」とあがめられてきました。
参拝者はスポーツ選手が多く、「昇殿参拝でしっかり祈願し、国体出場を決めた」というアスリートの方もいました。
また、経営者や芸能人、政治家らも全国から参拝にやってくるそうです。
ちなみに「太郎坊」というのは、天狗の名前です。
最澄がこの山に社殿を建てようとしたときに、山奥から突如あらわれて、手助けしたと伝わります。
京都最強のパワースポット「鞍馬寺」の鞍馬天狗の兄弟という説もあるようですが、そこは定かではありません。
ちなみに、比叡山にも「次郎坊」という天狗がいるそうです。
太郎坊宮 夫婦岩
太郎坊宮で注目を集めるポイントのひとつが「夫婦岩」。
神の鎮まる山を象徴する高さ数十mの巨大な岩で、「神様が真っ二つに押し開いた」と伝わります。
左が女岩で右が男岩とされ、長さは約12mあります。
太古の時代にマグマが冷えてできた岩だそうですが、実際その場に立ってみると、大地の躍動と神威を感じずにはいられません。
この間を抜けると、正直者は「病苦を除きすぐに願い事も叶う」といい、悪い心を持った人が通ると「挟まれる」のだとか。
五行山の岩に閉じ込められた孫悟空のイメージでしょうか。
想像すると、なかなかシュールです。
この説話は子供のしつけに重宝されたそうで、園児の我が子に言い含めてみたところ、効果は絶大でした。
もちろん、パワースポットとしての注目度も高く、太郎坊宮の巫女さんは「私自身、パワーを頂けると感じています」と語っていました。
いずれにしても、普通の場所ではないのは間違いありません。
太郎坊宮 鎮魂窟
芸能と財運を司る神様「弁財天」を祭るこちらのお社が、冒頭でご紹介した「玄人向けのポイント」です。
鎮魂窟と呼ばれるほこらで、「鎮魂法」などの心得のある方は中に入って修行することができます。
鎮魂法というのは、奈良の石上神宮などに伝わる「神道の秘技」で、魂を活性化させる力があるそうです。
ただ経験者いわく「相当深いところに入るため、生半可な知識や経験で挑むと危ない」のだとか。
石上神宮の記事でもご紹介しましたが、やはりきちんと講習を受けるのがベストです。
また、太郎坊宮の神職の方いわく、鎮魂窟で瞑想修行に励む行者さんもいるそうです。
ほかにも、七福神や滝不動がお祭りされていて、「神仏習合の聖地ならでは」という印象を受けました。
太郎坊宮 見どころパワースポット
太郎坊宮はそこそこ大きな神社で、ふもとから歩いて上る場合、参拝には最低でも1時間は欲しいところ。
道中、結構きついかもしれませんが、見どころもたくさんあるため、元気な方にはおすすめです。
ここでは、そんなポイントの一部をまとめました。
秘められた石仏の回廊
成願寺から続く鳥居をくぐり、階段を少し上った右手には、案内板に乗っていない秘密の小道があります。
こちらは神仏の宿る磐座と石仏がずらりと並ぶ回廊で、行場の香りが漂う神聖な場を形成しています。
天台宗の成願寺と太郎坊宮はもともと一つでしたが、明治時代の神仏分離政策で無理矢理引き離された経緯があります。
この小道には、かつての祈りのカタチがいまも残っていて、歩いているだけでも心身が浄化されそうです。
もし小道を訪ねる際には、どうか蜘蛛の巣にご注意ください。
不上石
瑞垣に囲まれたこの岩が不上石。
参道の中間付近にあります。
もともとは石段のひとつでした。
明治時代の初めごろまでは、肉や魚を食べた人はこの石より上に行くことが禁じられていて、こちらから拝礼していたそうです。
よくみるとこの石、上面に魚の形が浮かび上がっています。
参拝前に「動物性たんぱく質」を摂取した人は、こちらでお参りを。
神の鎮まる山への直接参拝ということもあり、三輪山同様、不浄を持ち込むのはご法度のようで、本殿の前には自分で不浄を清める「自祓い串」も用意されていました。
龍神舎と奥津磐座への道
龍神舎は、太郎坊宮の手水舎です。
この裏手にある岩(磐座)の前に立つと、明らかに空気が変わります。
本殿とは別の神域に続く道が「ハイキングコース」として整備されており、山頂の祭祀場には10分ほどでたどり着きます。
ただ、ほこらの類は存在せず、磐座も小ぶりとあって、少し分かりにくいかもしれません。
ちなみにこちらの水、「御霊水」と書かれていますが、飲用には向きません。
ここも太郎坊宮のミステリアスなところですが、御神水となる山の湧水はまだ見つかっていないようです。
「縁結び」のご利益で知られる境内の地主神社には、巨大な縦穴が掘られていますが、これは井戸を探した跡。
実は先ほどご紹介した「鎮魂窟」も昭和の時代に見いだされた比較的新しいパワースポットです。
太郎坊宮は歴史の長い神社ながらも、まだまだ奥の深い神秘が残されているのかもしれません。
太郎坊宮 御朱印
太郎坊宮の御朱印です。
正式名称の「阿賀神社」をチョイスしました。
休日でも混雑はなく、すぐに書いていただけました。
初穂料は300円。
参集殿で頂けます。
太郎坊宮 基本情報
太郎坊宮の基本情報は以下の通りです。
- 住所:滋賀県東近江市小脇町2247
- 電話:0748(23)1341
- 拝観時間:境内自由
太郎坊宮 駐車場&アクセス
太郎坊宮には無料駐車場が分散して存在しています。
中腹駐車場がもっともアクセスが良く、便利です。
- 中腹駐車場:30台
- 御神田前駐車場:15台
- 山麓駐車場:10台
電車での行き方
- 近江鉄道「八日市駅」下車、タクシー約10分
- 近江鉄道「太郎坊宮前駅」下車、徒歩約20分
車での行き方
大阪方面~
- 名神高速「蒲生スマートIC料金所」下車、約15分
東京方面~
- 名神高速「八日市IC」下車、約10分
MAP
太郎坊宮 まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、勝運アップのパワースポット「太郎坊宮」をご紹介しました。
パワスポ編集局では、滋賀最強のパワースポットをまとめた記事も掲載しています。
太郎坊宮のまとめは以下の通りです。
- 太郎坊宮は常勝の神様を祭るパワースポットでスポーツ選手らの参拝が多い
- 夫婦岩は正直者が通ると願い事が叶うといわれる
- 玄人向けの修行の場がある
- 神の鎮まる山への信仰が残っている
- 太郎坊宮に不浄を持ち込むのはご法度
- 山頂の磐座に続く道や石仏が並ぶ神秘的な小道があるが、案内板には書かれていない
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後ともご愛読いただきますよう、よろしくお願いいたします。