天空の神が地上の女神に会うために架けた橋と伝わる「天橋立」(あまのはしだて、京都府宮津市)。
太古の人々がそんなロマンチックな姿を描いた天橋立は、最近、「恋愛成就のパワースポット」として熱い視線が注がれています。
昔の言い伝えから生まれたジンクスではあるものの、その効果は口コミで広がりをみせ、女性の一人旅が急増しているそうです。
また、海のど真ん中で真水が湧き出たり、幸運を呼ぶ霊水「真名井の水」があったりと、天橋立とその界隈は不思議な話題に事欠きません。
そんな神秘に触れるカギが、天橋立神社、元伊勢籠神社(もといせこのじんじゃ)、真名井神社(まないじんじゃ)の「三社参り」にあります。
天橋立を逆さまに見る「股のぞき」とセットで、旅のメニューに加えてみてはいかがでしょうか。
とくに霊水の湧く真名井神社は「京都の穴場パワースポット」といえる存在で、おすすめです。
というわけで、今回は天橋立に足を運び、「天橋立神社」「元伊勢籠神社」「真名井神社」を取材してきました。
三社参りの順番や実際のご利益話、見どころや魅力、必見の駐車場情報などについて、まとめてご紹介します。
Contents
【天橋立】パワースポット①天橋立神社
宮崎県の「松島」、広島の「宮島」に並ぶ日本三景のひとつに数えられる天橋立。
宮津湾を分断するように全長約3.6kmの砂州がほぼ地続きに延びていて、そこに8000本に及ぶ松が生い茂るという不思議な景観が広がっています。
そんな神秘的な光景が、この砂州に国造りの神「伊邪那岐命」(いざなぎのみこと)と「伊邪那美命」(いざなみのみこと)にまつわる伝承を残しました。
伊弉那岐と伊邪那美は日本の国土をつくった神様で、多くの神々の両親に当たる存在です。
天橋立といえば股のぞきで知られますが、前屈姿勢で股の間から天橋立をのぞき込むと、龍が天に昇っているように見えるのだとか。
実際に挑戦してみると、ちょっと微妙な感じでした…。
そんなシュールさが味わえる天橋立ですが、京都タンゴ鉄道「天橋立駅」から歩いて15分ほどのところ、「知恩寺文殊堂」から旋回橋を進んだ先に「天橋立神社」があります。(下段にマップ)
ここが注目の「恋愛成就のパワースポット」のひとつであり、また、三社参りの振り出しになります。
三社参りは、天橋立神社を起点に、元伊勢籠神社、真名井神社の順にめぐるもので、この地に昔から伝わる「ご利益アップ」の風習です。
瑞垣と松に囲われた社殿がひっそりと鎮座している印象です。(写真上参照)
交通手段にもよりますが、三社参りは上手に回れば半日もかかりません。
さて、天橋立神社の見どころですが、特筆すべきは手と口をすすぐ手水舎(てみずや)の水。
両側を海に挟まれた砂州にあって、「磯清水」とよばれる真水が湧き出ています。
参拝前に口に含んでみましたが、不思議なことにまったく塩気はありません。
神棚に供える水として、わざわざ遠くからくみにくる人もいるのだとか。
行政と地元有志らが水質を管理しているそうですが、「井戸水なので飲用はおすすめしていない」とのことでした。
また、天橋立神社では、鳥居に石をのせると恋愛が成就するというジンクスもあり、よくみると、たくさんの小石がのせられています。
一方、当地郷土資料館の学芸員によると、お祭りされている神様は「豊受大神」(とようけのおおかみ)、「大川大明神」、「八大龍王」の3柱。
御祭神は「伊邪那岐命」(いざなぎのみこと)という説もあります。
天橋立神社 基本情報
- 住所:京都府宮津市文珠天橋立公園内
- 電話:0772(22)8030(観光案内所)
- 参拝時間:境内自由
【天橋立】パワースポット②元伊勢籠神社
三社参り2番目の巡礼地となる元伊勢籠神社(もといせこのじんじゃ)は、この地域で一番格式の高い神社で、「一宮」という称号が冠せられています。
いにしえから続く歴史のある神社で、一時、伊勢神宮のような中核的な役割を担う時代もあり、天橋立を埋め尽くすほどの参詣者が集まったという記録も残っています。
その風格はいまも保たれており、本殿に据えられた「五色の座玉」も伊勢神宮以外に存在しない代物で、「格の違いを示すもの」といわれます。
社殿は伊勢神宮とほぼ同様式の「唯一神明造」で、とても重厚で立派な見栄えです。
ただし、神門から先は撮影禁止エリアですので、どうかご注意ください。
元伊勢籠神社にお祭りされている神様は、彦火明命(ひこほあかりのみこと)。
ご利益は家内安全・子孫長福・諸業繁栄・開運厄除・病気平癒などとされます。
境内には不思議な水の音色が聞こえる水琴屈や、魂を宿して暴れた末に刀で切られた狛犬などがあり、観光地としても賑わいを見せています。
狛犬の右足には刀傷が残っていて、多くの観光客がスマホをかざしていきます。
一方、元伊勢籠神社にはいくつか小さなお社がありますが、ぞれぞれ参拝の順序が決まっています。
まず本殿をお参りした後、向かって右手にある「蛭子神社」(ひるこじんじゃ)に参り、左手に連なる天照皇大神社、眞名井稲荷神社、春日大明神社、猿田彦神社を参拝するのが正解です。
とくに蛭子神社は見落としがちですので、ぜひこの情報を参考にしてください。
このほか元伊勢籠神社の話題として、宮司は創祀以来82代にわたって直系が世襲しており、神話の時代から始まる家系図は国宝に指定されています。
また、元伊勢籠神社に伝わる極秘伝によると、彦火明命は上賀茂神社の主祭神「賀茂別雷大神」(かもわけいかづちのおおかみ)の別名だそうで、本当は「下鴨神社の神様と一緒にお祭りされている」といいます。
元伊勢と呼ばれる理由は?
神社(神道)の神様のなかで一番格の高い「天照大神」はいま、「伊勢神宮・内宮」に永住を決めたとされますが、かつては元伊勢籠神社を本宅にしていたことがあります。
また、「伊勢神宮・外宮(げぐう)」にお祭りされる「豊受大神」も、最初はこの地に鎮まっていたという経緯があります。
そんな歴史から、籠神社は「元伊勢」と呼ばれるようになりました。
ほかにも、「元伊勢」と呼ばれる神社はたくさんありますが、籠神社はとりわけ格式が高いとされます。
元伊勢籠神社 基本情報
- 住所:京都府宮津市字大垣430
- 電話:0772(27)0006
- 参拝時間:AM7:00~PM5:00
【天橋立】パワースポット③真名井神社
元伊勢籠神社から徒歩約10分、三社参りのゴールとなる真名井神社(まないじんじゃ)こそ、本命に挙げたいパワースポットです。
籠神社の社殿が創建される紀元前から、「豊受大神」をお祭りしてきた聖地中の聖地です。
籠神社からみると、真名井神社は「摂社」(せっしゃ)という位置付けになりますが、実際にはこちらが原点といえ、歴史の深さもけた違いです。
撮影が禁止じられる本殿の向こうには、神気が漂う「真名井原祭祀場」があり、自然崇拝の名残を残す巨石(磐座=いわくら)が並んでいます。
真名井原祭祀場では、それぞれの磐座に宇宙創造神「天御中主神」(あめのみなかぬしのかみ)、稲荷大神「倉稲荷魂命」(うかみのたまのみこと)、「真名井原神体山」などの神名が列記されています。
実はこれらの神様は、「豊受大神の別名」とも解釈されています。
つまり、神々が顕現・権現した聖地といえるわけです。
ご利益は、「命を守る水の力」の加護のほかに、国家鎮護、五穀豊穣、開運厄除、商売繁盛など多岐にわたるとされます。
ほかにも真名井神社には、天照大神、伊邪那岐命、伊邪那美命が降り立つ磐座もあり、家内安全や延命長寿、縁結びのご利益への厚い信仰が寄せられています。
そんな強力な穴場のパワースポットである真名井神社ですが、最大のみどころは「真名井の水」(まないのみず)です。
知る人ぞ知るこの御神水。
各界の著名人の運を開いたり、芸能人のご縁を結んだりと、ご利益話は枚挙にいとまがありません。
遠方から訪ねる人も多いようですが、休日も極端な混雑はなく、水汲み場も別に設けられていて、とても便利です。
この日もポリタンクを5つほど準備して、取水に臨む人の姿がみられました。
参拝前に波せき地蔵堂へ
真名井神社を参拝する際は、真名井の水が湧き出る手水舎脇の「波せき地蔵堂」にお参りするのが吉です。
「真名井の神に取り次いでくださる」存在とされるため、素通りするわけにはいきません。
1300年前に大津波が押し寄せたおり、ここで波を切り返したと伝わるお地蔵さんで、天変地異への守護や子育て、病気除けへの信仰が寄せられています。
真名井神社 基本情報
- 住所:京都府宮津市字大垣小字諸岡86
- 電話:0772(27)0006(元伊勢籠神社)
- 参拝時間:境内自由
知恩寺もおすすめパワースポット
ここまでくれば、臨済宗妙心寺派のお寺「知恩寺」も参拝せぬ手はありません。
この地域で一番大きな山門があり、その美しさに自然に足が向くかもしれません。
ご本尊は知恵を授ける仏様「文殊菩薩」(もんじゅぼさつ)で、日本三大文殊に数えられます。
境内には、重要文化財指定の多宝塔などのほか、すえひろ扇子というユニークなおみくじなどが、訪れた人たちの目を楽しませています。
また、地域の青年が力比べに用いた3種類の「力石」(70~130kg)があり、これに触れると「知恵と力を授かる」と伝わります。
このほか、神道の作法(2礼2拍手1礼)で参拝する「弁財天」のお堂も必見。
弁財天は言わずと知れた七福神の一柱で、芸上達と財運アップのご利益を授ける女神様としてあがめられています。
知恩寺 基本情報
- 住所:京都府宮津市字文珠466
- 電話:0772(22)2553
- 拝観時間:境内自由
御朱印
今回紹介した元伊勢籠神社と知恩寺では、御朱印が頂けます。
元伊勢籠神社の御朱印は、真名井神社の御朱印を兼ねたスタイルになっていて、初穂料は500円。
授与所で御朱印を書いてもらっている間に、眞名井神社を参拝するとスムーズです。
一方、知恩寺の御朱印は同寺で300円で頂けます。
天橋立三社参り アクセス
三社参りのスタート地点は「天橋立神社」となります。
そこから「元伊勢籠神社」に向かう流れとなりますが、選択肢は「バス」「船」「マイカー」「徒歩」の4つとなります。
公共交通機関での行き方
- 京都丹後鉄道「天橋立駅」からバス約20分、「籠神社前」すぐ
- 「天橋立桟橋」(天橋立駅から徒歩5分)から観光船約12分、「一の宮桟橋」すぐ
マイカーでの行き方(駐車場情報)
マイカーでめぐる場合、気になるのは駐車場です。
天橋立駅周辺の駐車場代は、ざっとみたところ600円から1000円程度。
籠神社の駐車場は30分無料ですが、以降700円かかります。
そして、ここがポイントですが実は真名井神社にも、小規模ながら無料の駐車スペースがあります。
つまり、三社参りは最安で600円で回れる計算になります。
ぜひ参考にしてください。
MAP
【天橋立】パワースポット まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、天橋立のパワースポットをご紹介しました。
ぜひ三社参りでご利益アップを目指してください。
またパワスポ編集局では「京都最強パワースポットまとめ」や「京都穴場パワースポット」、「京都霊水・御神水10選」などの記事も掲載しています。
今回のまとめは以下の通りです。
- 天橋立のパワースポットには三社参りというご利益アップの風習がある
- 振り出しの天橋立神社には磯清水という不思議な霊泉がある
- 次の巡礼地「元伊勢籠神社」は地域一の格式を誇る神社
- 真名井神社は穴場の強力パワースポットで、知る人ぞ知る御神水がある
- 知恩寺もあわせてお参りしたいパワースポット
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後とも内容を充実させてまいりますので、ご愛読の程、よろしくお願いいたします。