愛宕神社(あたごじんじゃ、京都市右京区)は、平安京の西北にそびえる霊山「愛宕山」の山頂付近にある神社です。
愛宕山は、1300年以上前から宗教の枠を超えて信仰を集めてきたパワースポットで、かつては数百件のお寺が立ち並び、山伏の修行場にもなっていました。
とくに陰陽道(おんみょうどう)の視点からみると、愛宕山は千年都市・京都を厄災から守る上で「重要な結界」の役割を担ってきたといえます。
その確かな霊験が転じて、「防火・火伏せ」のご利益が有名になり、愛宕信仰は全国へと広がりをみせました。
実際、愛宕神社の「火迺要慎」(ひのようじん)のお札は、火事から台所を守る「定番の護符」として地元で定着しています。
また愛宕山を開山した聖者の顔ぶれはとても豪華で、本物の聖地ならではの不思議な逸話もたくさん残っています。
ただ愛宕神社のアクセスは、片道2時間の登山となり、予備知識を持たずに参拝すると危険な目に合いかねません。
今回は、そんなとても奥の深い愛宕神社に参拝しました。
愛宕神社の知られざるさまざまなご利益や不思議な逸話、パワースポットの見どころ、アクセス・駐車場情報などについて一気にご紹介します。
また参拝時の失敗と反省をもとに、「お役立ち情報」をまとめていますので、是非参考にしてください。
Contents
愛宕神社 往復4時間の道のり/不思議な逸話も
愛宕神社は、京都・嵐山を代表するパワースポットで、海抜924mの愛宕山山上にあります。
愛宕山の山中では、眼下に広がる京都の街並みや季節外れの草花、野鳥のさえずりなどが楽しめます。
愛宕神社はもともと白雲寺という「お寺」だった歴史があり、神前で錫杖(しゃくじょう)を片手にマントラを唱える参拝者もいます。
そんなディープなパワースポットですが、上りは2時間を超える道のりになるため、参拝にはそれなりの覚悟が問われます。
京都の主要な神社のなかでも、愛宕神社への参拝を後回しにする人が多いのもそのためです。
また、愛宕山には不思議なエピソードがいくつも残されていて、そのひとつに「不浄な人は入山できない」との言い伝えがあります。
奈良の天河神社しかり、玉置神社しかり。
いわゆる本物の聖地には「呼ばれないとたどり着けない」などの逸話があるもので、愛宕山にこのような言い伝えがあるのも偶然ではありません。
そんな硬派な神聖な神社だからこそ、いざ本殿を前にすると、そこにこみ上げる「達成感」「感慨」はひとしおです。
取材当日は、試験合格への決意を固めるべく、愛宕神社の参拝に挑む学生の姿もありました。
いにしえの聖地が放つ「底知れぬ神秘」に魅せられる人は数知れず、なかには、愛宕神社に続けて3000日通い詰めた人もいるようです。
愛宕神社 神様とご利益は?
愛宕神社は、全国に800社以上あります。
京都の愛宕神社はその総本社にあたり、頂点に立つ存在です。
役行者(えんのぎょうじゃ)と泰澄(たいちょう)という日本宗教界の2大スターが力を合わせてその礎(いしずえ)を築いた伝わります。
そんな格式を誇る愛宕神社の本殿には、以下の5柱の神様がお祭りされています。
- 神々の母「伊邪那美命」(いざなみのみこと)
- 生産水の神「雅産日命」(わくむすびのみこと)
- 土の神「埴安姫命」(はにやすひめのみこと)
- 稲司の神「天熊人命」(あまのくまひとのみこと)
- 五穀の神「豊受姫命」(とようけひめのみこと)
愛宕神社でとくに有名なご利益は「防火・火伏せ」。
3歳までの幼児を背負ってお参りすると、その子どもは一生火難から逃れられるといわれています。
なかなか険しい道のりながら、小さな子どもを連れた参拝者が多いのもそのためです。
防火のご利益はどこから?
防火のご利益で知られる愛宕神社ですが、本殿にお祭りされる5柱の神様のなかには、「火の神様」が含まれていません。
ではなぜ愛宕神社が「防火・火伏せ」のご利益で注目を集めてきたのか。
その謎をひも解くと、2つの答えが浮かび上がってきました。
迦具土命の存在
まず1つ目の理由は、本殿に向かって左奥にあるお社「若宮」に祭られる「迦具土命」(かぐつちのみこと)という神様の存在です。
この神様は、伊邪那美命(いざなみのみこと)が命をかけて生んだ「火の神様」で、火渡りなどの荒行に励む山伏らの信仰を集めました。
つまり、若宮に鎮まる迦具土命こそが「防火の神様」にあたるわけです。
そのため「防火・火伏せ」のご利益を求める方は、本殿だけにとどまらず、若宮にも足を運び、「迦具土命」にお参りするのがベストです。
ただ、なぜ信仰の柱になる「火の神様」が本殿とは別のところにお祭りされているのか。
これは、いにしえからの揺るぎない聖地(パワースポット)に、さまざまな信仰が持ち込まれた「副作用」のようなものです。
実際、迦具土命は、火事を引き起こす大天狗「愛宕権現太郎坊」(あたごごんげんたろうぼう)と同一視された時代もありました。
とはいえ、これはあくまでも「解釈の違い」に過ぎません。
つまり、「火の神様」とするか、「天狗」ととらえるか、あるいは「地蔵菩薩」とみるかは「信仰ごとに異なる物差しの違い」であって、そこに「神秘の力」が秘められているのは間違いなさそうです。
平安京からみて天門に
愛宕神社に防火の信仰が根付いた2つ目の理由は、愛宕山とかつての都・平安京との位置関係にあります。
鬼門(北東)と裏鬼門(南西)が「悪い方角に当たる」というのは広く知られる話ですが、陰陽道ではもうひとつ、危険視される方位が存在します。
それは、怨霊や魑魅魍魎(ちみもうりょう)などが出入りする「天門」と呼ばれる西北の方位です。
ただ天門は「凶方位」ながらも、きちんと鎮めることで「家運が栄え、子孫が繁栄する」といわれます。
実は愛宕山は、平安京からみると、この「天門の方角」に位置します。
つまり愛宕神社(旧白雲寺)は、得体の知れぬ災いから都を守護するべく、意図してつくられた寺社だったわけです。
そして当時の人たちは「都を守護する寺社には、一般家庭の防火・防犯にもご利益があるはず」と考えました。
かくして、愛宕神社は「防火のご利益」に注目されるようになったわけですが、その信仰を広めたのが「火の神を重んじる山伏」だっため、ますます「防火」のイメージが強まりました。
とくに愛宕神社の「火迺要慎」(ひのようじん)のお札は、火事を防ぐ効果があるとして、いまも全国から崇敬者がやってくるほど定番化しています。(詳しくは後段で解説)
縁結びのスポットも
愛宕神社は「防火・火伏せ」がクローズアップされるあまり、なかなか「恋愛関係のご利益」にスポットが当たりません。
そんな愛宕神社のなかにも、「縁結びのパワースポット」があります。
本殿に向かって左奥にある「奥宮」です。
奥宮には17柱もの神様がお祭りされていて、その中心的な存在(主祭神)に当たるのが「大国主命」(おおくにぬしのみこと)。
大国主命は「日本三大縁結び」として知られる島根の出雲大社に祭られる神様で、別名がたくさんあり、子どもも大勢いることから、「強力なご神徳(しんとく)」を持つことで知られています。
全国津々浦々、さまざまな神社にお祭りされる神様ですが、1300年以上も続く聖地での祈りは、特別なご利益をもたらしてくれるかもしれません。
白髭社に鎮まる「意外な神様」とは?
愛宕神社の境内のはずれに、「白髭社」というお社があります。
一つのお社の中に、修羅髭社と白波社がセットになった形です。
白髭社には白髭大神、修羅髭社に修羅髭大神、白波社には白波大神と記されていますが、どんな神様なのかは謎でした。
由緒書きにも紹介されていません。
一般的な見方として、もっとも有力視されるのは、道開きの神「猿田彦大神」。
ところが、どうもそうではないようです。
そこで神職の方に尋ねてみたところ、なぜか「こそっと」耳打ちされました。
3柱ともに「薬の神様」だといいます。
不思議なエピソードが秘められていそうですが、「こそっと」という点が気になるところですので、ここでの深追いはいたしません。
愛宕神社 おすすめ登山道は?
愛宕神社への参拝は、愛宕山のふもと「清滝」(京都市右京区)という地区がスタート地点になります。
ここから愛宕神社に向かうルートとして、上りと下り、それぞれにおすすめ登山道があります。
- 愛宕山表参道(上り・地図オレンジのライン)
- 月輪寺ルート(下り・地図ブルーのライン)
愛宕山表参道は、もっとも整備が行き届き、無難なルートといえます。
片道約4kmの道のりで、天狗信仰の聖地「火燧権現(ひうちごんげん)跡」など、見逃せないパワースポットもあります。
休憩所もちょうど良いところに3カ所設けられていて、一息つくのに便利です。
一方、下りは不思議な霊水が湧く「月輪寺」(つきのわでら)をたどるコースがおすすめです。
傾斜が急なため、下りのルートとして適しているともいえます。
ただし現地の案内板によると、このルートは「野生動物と遭遇したり、遭難事故にあったりする可能性がある」として、原則AM9:30~PM3:30までの利用に限られます。
愛宕神社表参道の入口付近には、持っていくととても便利な「道中の安全マップ」が置いてあります。
ただ、このマップを活用するにしても、いくつか注意点などがありますので、興味のある方は下段の「お役立ち情報」を参考にしてください。
愛宕神社 登山のポイント
ここでは、実際に現地に足を運んだ経験をもとに、登山に当たってのポイントをまとめました。
事前に知っておくと便利な「お役立ち情報」を箇条書きにしたものです。
管理人の失敗と反省をもとに盛り込んだ項目もあります。
愛宕神社への参拝に初めて挑戦される方は、是非参考にしてください。
山頂の状況は?気温・携帯の電波状況も
参拝に当たり、とくに注意が必要なのは登山を始める「時間帯」です。
登山としては「初心者レベル」に当たるとはいえ、午後からのスタートだと、よほどの健脚でない限り、下山に間に合いません。
以下、押さえておきたいポイントです。
- とにかく苦しいのは上りの前半戦。5合目を超えると比較的楽に
- 帰りのことを考えると、遅くともAM11:00までに登山をスタートさせる必要がある
- AM11:00時以降、小さな子連れの登山客は「駐車場の利用」を断られる
- 表参道は人通りが多く案内板も充実しているためまず迷わない
- 携帯の電波は微弱。入らないところの方が多い
- 山中に売店はない。昼食としておにぎりなどを用意する必要がある
- 2018年の台風の影響で倒木が目立つ
装備・水について
とくに見落とされがちなのは、寒さ対策よりも「暑さ対策」。
水は500mlのペットボトル1本程度ではまったく足りません。
境内の手水舎の水も「雨水」を利用していて、飲用できませんのでご注意ください。
また、塩分やミネラルの補給にも気を配りたいところです。
以下が要点になります。
- 地上との気温差は10℃あるといわれるが、取材当日(5月上旬)は5℃程度だった
- この気温差を逆算し、脱ぎ着しやすい上着を用意するのが吉
- 夏場は熱中症対策が必須。梅干しやわかめが入ったおにぎりに救われた
- 水は最低でも1.5ℓは欲しいところ
- 愛宕神社の境内にも自販機があり、スポーツ飲料の相場は200円
- 履物はサンダルやヒールだと厳しい。冬季はスニーカーもNG
トイレ
愛宕神社にたどり着くまでの間、山中にトイレはありません。
ふもとで済ませるのが鉄則です。
ふもとのトレイの方が格段にきれいでした。
マップと登山届
表参道入口に上記の安全マップが置いてあます。
山中は携帯の電波が届きにくい分、持っていくと便利ですので、どうかお忘れなく。
休憩所の位置も明示されていて、とても分かりやすく作られています。
参考までに、以下の写真が現物となります。
ただし、月輪寺コースをたどって下山する場合は以下の点で注意が必要です。
- 愛宕神社から月輪寺までの道のりはマップ上でのみた目以上に長い。
- マップ上では月輪寺が愛宕神社の近くにみえるが、体感としては中腹あたり
- 「通り過ぎたのでは」「道を間違えたのか」と心配になる人も多い
- 月輪寺への登り口からゴールとなる清滝までの道のりも、マップ上での見た目以上に長い
- 野生動物と遭遇したり、遭難事故にあったりする可能性があるとして、原則AM9:30~PM3:30までの利用に限られる
また、登山届をスマホから提出する方法とQRコードを記したチラシもありますので、「万一の備え」として登録が推奨されています。
このチラシには、けがや遭難など「緊急時の対処方法」なども記されています。
愛宕神社 見どころパワースポット
古くからの聖地である愛宕山は、書ききれないほどの見どころがあります。
ここでは愛宕山中の選りすぐりのパワースポットを厳選し、ご紹介します。
とくに「空也の滝」は必見です。
火燧権現跡
登山口から300mほど上ったところに、「火燧権現跡」(ひうちごんげんあと)という聖地があります。
ここはかつて、愛宕権現太郎坊(あたごごんげんたろうぼう)という天狗をお祭りしていたところで、往時は「下権現」(しもごんげん)とも呼ばれていました。
愛宕権現太郎坊は、火の神様「迦具土命」(かぐつちのみこと)と同一視される最高位の大天狗で、「怒らせると火事を起こす」と信じられていました。
実際、京都の町が火事になると、このお社がガタガタと音を立てて揺れたそうです。
そんな神秘的な逸話を残す「下権現の跡地」ながら、いまも各地の山伏、僧侶らの参詣が絶えないパワースポットになっています。
実際、現地はどこか霊気然とした濃密な空気に支配されていて、さまざまな神名を刻んだ碑がご神木にいくつも立てかけられています。
「素戔嗚尊」(すさのおのみこと)、「伊弉諾尊」(いざなぎのみこと)、「開化天皇大神」…。
夢で神様のお告げを受けたのか、それとも現地で感得した人が立てかけていったのか――。
「ディープなパワースポット」がお好きな方には外せないポイントといえます。
月輪寺
愛宕神社の帰りに、是非とも立ち寄りたいのが天台宗のお寺「月輪寺」。
「空也(くうや)上人」、「法然(ほうねん)上人」、「親鸞(しんらん)聖人」という有名なお坊さんにゆかりのあるお寺です。
愛宕神社はもともと「白雲寺」というお寺でしたが、これと同時期にできた5つのお寺のうちのひとつです。
月輪寺でとくに見逃せないのは、愛宕山で唯一の湧水といわれる「龍奇水」。
空也上人が修行をしていたとき、観音様のお告げを受けて龍神様を助けたところ、そのお礼に授けられたのが「龍奇水」と伝わります。
実際に飲んでみると清涼感があり、「浄化の力を備えた霊水」という感じがしました。
もう一つの見どころは、親鸞(しんらん)上人の手植えとされる「時雨桜」。
師と仰ぐ法然上人とともに流刑の憂き目にあい、別れを惜しんで涙したと伝わる親鸞聖人ですが、春になると、この時雨桜も涙を流すのだとか。
また、境内を抜けたところには、樹齢1000年を超える「子宝紅葉」があり、夫婦円満や子授かりなどのご利益があるそうです。
念じて触れると、不思議な力が授かれるとも。
月輪寺は、2018年の台風による土砂崩れの影響で大きな被害を受けそうで、お寺はかなりお困りの様子。
やましくも管理人は、ご利益を大いに期待しつつ、財布の中にあったわずかながらの有り金を全部お賽銭箱に入れてきました。
不純さのない志納金の方が、より大きな仏様のご加護が頂けるかもしれませんが、生きたお金の使い方をするのもまた、悪いことではない気がします。
空也の滝
月輪寺から清滝への帰り道に、もうひと頑張りして訪ねておきたいのが「空也の滝」です。
落差15mを誇る京都近郊では最大の滝で、素朴で力強く、あまりにも神々しいその光景に思わず息をのみました。
岸壁のなかには、鬼を使役する山伏「役行者」(えんのぎょうじゃ)や滝不動の尊像があり、ただならぬ気配を漂わせています。
空也の滝は、水をつかさどる仏教の守護神「八大龍王」をお祭りしている神域で、その名の示す通り、「空也上人」が修行に励んだ地と伝わります。
空也の滝こそが、月輪寺の「龍奇水」にまつわる伝説の舞台であり、霊水を授けた龍神様が鎮まる聖地とみられます。
へとへとに疲れた体を引きずって参拝しましたが、神秘の滝を前にすると、そんな苦労も一瞬にして報われました。
ちなみに滝行は誰でも自由に行えるようです。
アクセス自体はそんなに難しくありません。
月輪寺ルートの登山口を出てすぐ、もう一度別ルートで山に入っていくようなイメージです。
「空也瀧」と記された標石があるため、まず見落とさないと思われますが、以下の写真が入口となります。
空也の滝は、この標石から歩いて15分ほどのところにありますが、道に沿ってしばらく歩いていると、「八大龍王」の神額を掲げた鳥居がみえてきます。
この先、民家の庭先のような空間に入っていくことになりますが、地元の人に確認したところ、まったく問題ないそうです。
ただし、道中はマムシが出ることもあるようですので、くれぐれもご注意ください。
愛宕神社 火迺要慎のお札と樒の葉
愛宕神社を象徴する防火のお札「火迺要慎」(ひのようじん)。
これは「火、すなわち慎みを要する」という先人のいましめを込めたものだそうですが、いつごろから授与されてきたのか、実ははっきりしません。
神職の方いわく、明治政府のとった神仏分離政策の影響で、史料・文献の類がほとんど残っていないそうです。
ただ、お札には「愛宕」ではなく、「阿多古」(あたご)という字を当てている点からも、相当な歴史がうかがい知れます。
初穂料は、大サイズが500円、小が400円。
愛宕神社の参拝にあわせて、是非とも入手したいアイテムだけに、「誠実な価格設定」だと感服しました。
折曲がらないよう、くるっと丸めて包みに入れ、片手で握れるほどコンパクトにして手渡してくれます。
一年たった後、愛宕神社に返納するのが習わしですが、氏神様(最寄りの神社)に納めるのも認められています。
また、愛宕神社では防火のお守りとして「樒(しきみ)の葉」も授与されています。
樒は、愛宕山に群生する常緑樹で、魔除けや臭い消し効果がある「有毒の植物」です。
もともとは、かまどに火をくべるときに一枚入れて、その日の安全を祈願する「おまじないの一種」でした。
樒は、一般的な仏事にも用いられています。
愛宕神社では樒を5本一束で授与しており、この日はご近所を代表して5束をまとめて持ち帰る人をみかけました。
愛宕神社 絶景のポイント
山登りを兼ねて、愛宕神社に参拝する登山客も少なくありません。
逆にいえば、参拝を兼ねて「山から見下ろす街の絶景」を堪能するのも楽しみのひとつです。
写真ではなかなか伝わりにくいかもしれませんが、管理人がおすすめするビューポイントは2つ。
一押しは、表参道5合目付近からの眺望です(写真上)。
ここからは、嵐山を含む京都の町が一望できます。
突然視界が開ける「不意打ち感」がたまりません。
もう一つは愛宕神社のすぐそば、月輪寺へと続く道中からの眺めです。
こちらは嵐山方面の眺望ではありませんが、高さがある分、5合目の眺めとは趣が異なります。
愛宕神社 天狗と猪
愛宕神社は令和元年の干支、猪にもゆかりがあります。
先ほど少し触れましたが、愛宕神社はもともと白雲寺という「お寺」でした。
「役小角」(役行者)と「泰澄」という日本宗教界の2大スターが愛宕山を開山した後、慶俊(けいしゅん)というお坊さんが貴族の和気清麻呂(わけのきよまろ)と協力して、白雲寺など5つのお寺を建てたのが「形のある寺社」としての始まりです。
これは、5つの頂を持つ中国仏教の聖地「五台山」を参考にしたもので、先ほどご紹介した通り、「月輪寺」もその一つに数えられます。
そして、和気清麻呂公に残された不思議な逸話こそが、猪とのゆかりになります。
和気清麻呂公は、宇佐八幡宮(大分県)の神様の助力を得て、弓削道鏡(ゆげのどうきょう)という法皇の野望を打ち砕いた英雄です。
ただ、天皇への道を閉ざされた道鏡も、黙ってはいません。
清麻呂公の足を切って、鹿児島への流罪に処します。
それでも怒りの収まらない道鏡は、九州に移動中の清麻呂公に向け、刺客を放ちました。
立つことさえもおぼつかぬまま、がごに揺られる清麻呂公は、絶体絶命のピンチを迎えます。
そんなときに、どこからともなく現れたのが300頭に及ぶ猪の大群でした。
イノシシの軍勢は、清麻呂公を刺客から守りながら、宇佐八幡まで護衛しました。
参拝を終えた後、清麻呂公の足はすっかり良くなっていました。
ちなみに、いまから400年前、伊達政宗の家臣「片倉小十郎」が先勝祈願をした折に奉納された絵馬のデザインにも、猪にまたがる天狗の姿が描かれています。
また、金灯籠の猪(かなどうろうのいのしし)をなめると「足の疲れが癒される」という言い伝えもありますが、試してみるのは衛生面からもあまりおすすめできません。
愛宕神社 千日詣
7月31日の夜から8月1日にかけて開かれる愛宕神社の一大イベント「千日詣」。
両日をまたぐPM9:00~AM3:00頃の時間帯にかけて、愛宕神社にお参りすると「1000日分の防火のご利益」が頂けるとされます。
3年近くかけて毎日参拝するのと、同じ効果です。
また当日PM9:00からは、山伏による護摩焚き神事など、翌1日のAM2:00からは鎮火神事などがあり、天候次第で日出や雲海なども見られるそうです。
それだけに、千日詣の日は愛宕神社も超満員に。
「1000日分のご利益」とあって、ふもとの駐車場は朝から満車になり、夜間は京福嵐山駅から10分間隔で臨時のバスが運行されるほどのにぎわいをみせます。
臨時バスの詳細は、7月以降、京都バスのホームページに掲載される模様です。
参拝者の安全を守るため、表参道には灯りがともされますが、懐中電灯は必須です。
愛宕神社 御朱印&御朱印帳
愛宕神社の御朱印です。
初穂料は500円です。
こちらが御朱印帳です。
初穂料は1500円。
いずれも、和気清麻呂公ゆかりの猪があしらわれています。
愛宕神社 アクセス&駐車場
マイカーで愛宕山のふもと(清滝)までアクセスする方は、「さくらや」(青木駐車場)の利用が便利です。
というよりは、ふもとの駐車場はここだけです。
駐車料金は平日500円、土日祝は1000円。
ただし、AM11:00時以降は危険を理由に断られるケースがあります。
とくに、子ども連れの参拝者は要注意です。
また、ゴールデンウィークなどは混雑し、駐車できない場合もあります。
駐車場の方いわく「早朝だと確実」だそうです。
公共交通機関での行き方
- JR京都駅から京都バス、バス停「清滝」下車(約50分、本数に要注意)
車での行き方
- 名神高速「京都東IC」下車、約1時間
- 名神高速「京都南IC」下車、約1時間
愛宕神社 基本情報
- 住所:京都右京区嵯峨愛宕町1
- 電話075(861)0658
- 参拝時間:遅くともAM11:00までに入山
愛宕神社 まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は参拝に登山を伴う「愛宕神社」をご紹介しました。
パワスポ編集局では、京都最強パワースポットや穴場をまとめた記事なども掲載しています。
また、関西の穴場パワースポットをお探しの方はこちらの記事が参考になるかと思います。
まとめは以下の通りです。
- 愛宕神社は1300年の歴史を誇る防火・火伏せの聖地
- 眼下に見下ろす絶景と季節外れの草花などが楽しめる
- 不思議な逸話も多い
- 京都で定番の防火のお札が頂ける
- 縁結びのスポットや薬の神様を祭る社もある
- 愛宕山には天狗の聖地などパワースポットがいくつも点在する
- 猪とのゆかりが深い
- 登山口にあるマップが便利だが、少し注意が必要
- 参拝は往復4時間以上の道のりに
- 上りの5合目までがきつい
- 夏場は熱中症対策が必須
- 午前11時までに入山するのが鉄則
- トイレは愛宕神社に着くまでない
長文にもかかわらず、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
内容を一段と充実させてまいりますので、今後ともご愛読の程、よろしくお願い申し上げます。