神社とお寺の違いって、ご存知でしょうか?
神社もお寺もパワースポットの定番で、「おがむ場所」という点でも同じです。
では、お寺と神社でどこが違うのか。
お寺と神社の見分け方は、とても簡単です。
- お寺には「お墓」や「鐘」があり、「お坊さん」がいて、お堂に「仏像」が安置されている。
- 神社には「鳥居」があり、平安時代の貴族のような衣装を着た「神職の人」がいて、お賽銭箱の上に「鈴」がある。
お寺なのに鳥居があったり、神社のなかに仏像があったりと、まれにイレギュラーなパターンもありますが、大方これで見分けがつきます。
また神社での作法として、お賽銭を入れた後に「2礼2拍手1礼」しますが、お寺ではNGです。
仮にお寺で「ペコリ、ペコリ、ぱんぱん、ペコリ」をやってしまうと、恥をかきますので、くれぐれもご注意ください。
寺院では静かに合掌するのが一般的な作法といえ、もっとも無難です。
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神社とお寺 そもそも何が違うのか
少し見た目の異なる神社とお寺ですが、何より「決定的な違い」があります。
それは「宗教」の違いです。
神社は「神道」(しんとう)、お寺は「仏教」という宗教の施設です。
では、神道と仏教の違いは何か。
ここでは、ポイントだけをかいつまんで、2つの宗教の違いを説明します。
神道は日本生まれ 八百万の神を信仰
神道とは、日本生まれの宗教です。
神道というのは、ある意味で「宗教ではない」ともいえます。
教祖も教義も経典もないからです。
つまり、「こうしなさい」という教えがありません。
「教」ではなく「道」という字があてられているのもそのためです。
しいて神道の教えを挙げるなら、「譲り合う」「支え合う」「ばち当たり」「おかげさま」など、すでに多くの日本人の心に根差しているものばかり。
つまり大半の日本人は、幼いころから生活文化のなかで「神道的な生き方」を自然に学んでいるものといえます。
神社本庁の総長から直接聞いた話では、神道は大自然とともに生きたアメリカ先住民族の信仰と驚くほど共通点が多いそうです。
信仰の対象は「神様」
神道の場合、祈りを捧げる対象は日本古来の「色んな神様」です。
「八百万の神」という自然のなかにある神様です。
また、日本神話に登場する「皇室のご先祖」や「歴史上の偉大な人」が亡くなった後に神様に昇格するパターンもあります。
そして、そのお社は「特別な聖地」に設けられます。
その起源は、自然の中に神の存在を感じ取った古代の「自然崇拝」にまでさかのぼります。
また神社は、「神宮」、「大社」、「宮」といった名前が付くのも特徴です。
「神宮」と名のつく神社は、皇室のご先祖さまに当たる神様をお祭りしているケースが多いなど、それぞれに特徴があります。
ちなみに、もっとも格の高い神社は「伊勢神宮」で、天照大神(あまてらすおおかみ)という一番偉い神様がお祭りされています。
単に「神宮」とだけいう場合は、伊勢神宮のことを意味します。
仏教は輪廻転生と因果応報が柱
仏教は、インドのお釈迦さま(ブッダ)を開祖とする世界的な宗教で、1500年ぐらい前に日本に伝えられたものです。
つまり、外国からきた宗教といえます。
仏教の世界観は、とても独特です。
聞いたことがあるかもしれませんが、教えの基軸は生と死がめぐる「輪廻転生」(りんねてんせい、りんねてんしょう)です。
おおまかなサイクルの流れは以下のイメージになります。
- 生きるのはとても苦しいこと
- それでも人は何度も生まれ変わりを繰り返している
- 最終的に悟って仏になれば、苦しい生死のサイクルから抜け出せる
仏教の大きな特徴としてもうひとつ、「因果応報」という教えがあります。
「善行であれ悪行であれ、やったことは全部返ってくる」という目に見えないメカニズムを説いたものです。
生きている間に返ってこなかった行いは、「持ち越し分」として、生まれ変わった後に「報いを受ける」という仕組みになっているそうです。
つまり、人を深く傷つけたまま今生を終えた人は、来世で人に深く傷つけられる宿命を負うことになるわけです。
逆に善い行いは「徳」として残り、ラッキーな形で返ってくるのだとか。
こうしたルールのもとで、究極の幸せに到達する方法を教えてくれるのが仏教で、それを手助けしてくれるのが「仏様」となります。
崇拝の対象は「仏様」
仏教の場合、信仰の対象は神ではなく「仏」です。
基本的に「神様」と「仏様」は違います。
「同一の存在」という見方や「仏さまの方が格上」という考え方など、いろいろな解釈もありますが、どちらも崇拝すべき対象であるのに違いありません。
また、仏さまにも「悟りの度合い」に応じた格付けがあります。
一番格が高いのは「阿弥陀如来」(あみだにょらい)という仏様。
全国にある半数以上のお寺がご本尊に安置している仏像も、阿弥陀如来です。
寺院の名前には、寺のほかに、「院」、「庵」、「坊」、「大師」などがあり、覚えておくと神社との見分けが一段とつきやすくなります。
このほか仏教と神道の違いとして、「戒律(かいりつ)の有無」も大きな差です。
仏教には、盗みや殺生を禁じる戒律があります。
また、寺院は「僧侶の修行場」という色彩の強い施設でもあります。
神社とお寺の違い なぜ見分けにくい?
神社とお寺を混同している人が、なぜこれほどまでに多いのか。
その原因は大きく2つあります。
まず第1の原因は、神様を仏様の化身として考える「神仏習合」の時代が長く続いたことです。
神仏習合というのは、外国から入ってきた仏教と日本古来の神道が喧嘩せずに一緒になる過程で生まれた考え方です。
「鳥居のあるお寺」や「お地蔵さんが並ぶ神社」というのをたまに見かけますが、これは「神仏習合の名残」といえます。
仏教と神道が融合した寺社は、明治時代に無理矢理分離されてしまいますが、神仏習合を長年続けてきた歴史がある以上、神社とお寺の見分けがつきにくいのは当然といえるわけです。
第2の原因は、「日本人特有の宗教観」にあります。
神社本庁総長いわく「自宅の居間に仏壇を置く人が、神社で願掛けし、教会で結婚式をあげる。決して珍しい話ではないが、いい意味でも悪い意味でも、そこに疑問を感じないのは日本人ぐらい」だそうです。
裏を返せば、多くの日本人は宗教へのこだわりと関心がとても小さいといえます。
事実、世界のなかでも日本は「無宗教」を自認する人の割合が突出して多いことで知られます。
ただし、罰当たりなことに強い抵抗を感じ、困ったときに神仏にすがるのもまた、無宗教を語る日本人の特徴です。
「無宗教」であっても、「生粋の無神論者」はごく少数派というのが実態です。
実際、初詣やお墓参りは「半分習慣(文化)、半分信仰心で臨んでいる」という人が多いに違いありません。
神社とお寺の違い【見分け方】 まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は神社とお寺の違いについて紹介しました。
仏教の開祖であるブッダ(お釈迦様)については、個別記事により分かりやすくまとめています。
興味のある方はぜひ参考にしてください。
今回のまとめは以下の通りです。
- 神社とお寺は、お墓や鳥居などの有無をみれば簡単に見分けがつく
- 神社とお寺はそもそも宗教が違う
- 神道は日本生まれで、仏教はインド発祥
- 神道は神様を信仰し、仏教は仏様を崇拝する
- 神道の教えは日本人の感覚的な倫理観の中に根差す
- 仏教は輪廻転生と因果応報が信仰の基軸となる
- 神道には仏教のような戒律がない
- 神社とお寺の見分けがつきにくいのは神仏習合の歴史と日本人特有の宗教観に原因がある
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後、より内容を充実させてまいりますので、ご愛読のほど、よろしくお願いいたします。