石上神宮(いそのかみじんぐう、奈良県天理市)は、とにかく神秘的な話に事欠かない神社で、ファンタジーの世界をそのまま投影したようなパワースポットです。
お祭りしている神様も、「神の武器に宿る魂」という不思議な構図。
起死回生の力を宿す神剣をはじめ、3柱の神様がお祭りされています。
また、いにしえの秘術をいまに伝える神秘的なパワースポットでもあり、毎年11月22日に行われる祭事や講習会で「魂を活性化させる鎮魂法」(石上鎮魂法)の神髄に触れることができます。
今回は、多数の国宝に世間の関心が集まる陰で、神秘の姿をそっと浮かび上がらせる石上神宮に行ってきました。
いにしえの秘術の存在や七支刀をあしらった御朱印などの情報を含めて、石上神宮の魅力をまとめてご紹介します。
Contents
石上神宮 超一級の伝統と格式
石上神宮はいまから1600年以上前、神様が常駐する「神宮」として、伊勢や出雲に並ぶ極めて格式の高い神社に位置づけられていてました。
また石上神宮は、各地の部族から霊力を宿した武器を没収・保管しておく「武器庫」の役割も担っていました。
実際、石上神宮の巨大な蔵からは、当時の朝鮮(百済)でつくられた「七支刀」(しちしとう)という聖剣まで見つかっています。
武器というよりは、敵の軍勢を退ける術具として用いられたようで、史実の正確な年代を割り出す「史料」としても計り知れない価値があるとされます。
一方境内は、澄んだ空気と緑が印象的なパワースポットで、厳かな国宝の拝殿を背に、「神の使い」である艶やかな30羽の鶏が、ここそこを歩き回っています。
境内地は23万㎡を超える広さがありますが、拝殿をはじめとする参拝エリアは比較的コンパクトにまとまっています。
参拝にかかる所要時間は、30分~1時間もあれば十分かと思われます。
石上神宮 神様は神剣・神宝 ご利益は?
石上神宮の本殿には、神剣・神宝の「魂」が3柱の神様としてお祭りされています。
神剣、神宝というのは以下の3つ。
- 神話の時代に初代天皇が振るった神剣韴霊(ふつのみたま)
- 死者を蘇らせるほどの霊力を秘めた十種神宝(とくさのかんだから)
- 素戔嗚尊(すさのおのみこと)がヤマタノオロチを退治した十握剣(とつかのつるぎ)
そして、それぞれ神剣・神宝に宿る神様の魂は、以下のようにお呼びしています。
- 布都御魂大神(ふつのみたまのおおかみ)
- 布留御魂大神(ふるのみたまのおおかみ)
- 布都斯魂大神(ふつしみたまのおおかみ)
ご利益は健康長寿・病気平癒・除災招福・百事成就です。
このほか、口コミでは「くじが当たった」、「交通安全のご利益がある」、「起死回生のお守りの効果がすごい」などの報告が寄せられています。
石上神宮 神秘の鎮魂法
格式の高さがひとつの魅力といえる石上神宮ですが、そんな陰で、とても神秘的な秘術が継承されてきました。
石上鎮魂法――。
いわく、「魂を活性化させる方法」だそうです。
崇敬会の会員を対象とする講習会まで存在する、れっきとした「いにしえの技術」です。
講習会は有料で、毎年夏に開かれます。
1泊2日で鎮魂法と禊行法を学び、受講料は3万円。
秘法のイメージと祝詞の内容
鎮魂法のおおまかな雰囲気をお伝えすると、不思議な祓詞(はらえことば)を唱えた後、韻(いん)を切るような動きをしてから、瞑想のように呼吸を整えるイメージです。
ここで唱える祓詞(はらえことば)は3つあります。
- 十種祓詞(とくさのはらえことば)
- ひふみ祓詞
- 十種神寶大御名
どうも、これが凄い「言霊」のようです。
まず、ひふみ祓詞はこのように唱えます。
いろは47文字を流れるように組み合わせたもので、濁点もなく、ダブっている文字もありません。
つまり、これは「とてもクリーンな言葉の並び」で、お祓いの力を持つといいます。
また、十種祓詞には、布留の言(ふるのこと)といわれる一節があり、強い霊力をはらんだ言葉が含まれます。
物部氏という豪族の先祖が「十種瑞宝(とくさのみづのたから)」を神様から授かったとき、「もし痛むところあれば、この宝を、一二三四五六七八九十(ひとふたみよいつむゆななやここのたりや)と言って振りなさい。ゆらゆらと振りなさい。死んだ人すら生き返ります」と教えられたと伝わります
祓詞の一節は、その教えを示すもののようで、実際、「おなかが痛いときに唱えるおまじない」として唱えてきた人もいるようです。
いずれにしても、この手の秘技は講習を受けてきちんと習った方がいいかもしれません。
また、11月22日の鎮魂祭「みたまふりのまつり」では、本格的な鎮魂法が神前で披露され、特別会員以上になると昇殿参拝できるそうです。
歴史上、一度途絶えたことのあるこの祭事、呪言と鈴の音が静かにこだまするなかで、殿内に霊気がみなぎり、神秘の世界が広がるといわれます。
石上神宮 御朱印
石上神宮には2種類の御朱印があり、おすすめは上の写真の「七支刀」を描いたタイプ。
初穂料は通常版の300円に比べて、ちょっと高めの700円となりますが、管理人は迷わずこちらをチョイスしました。
拝殿の向かいにある授与所で頂けます。
休日でしたが、待ち時間もなく、すぐに書いていただけました。
石上神宮 見どころ
石上神宮は、国宝や重要文化財がたくさんあり、楼門の扁額(へんがく)も明治政府の最高指導者「山県有朋」が筆をとったものといわれます。
また拝殿は、現存するなかで最古といわれ、国宝に指定されています。
ここでは、そんな石上神宮のみどころをまとめました。
本殿と禁足地
歴史の古い石上神宮には、もともと本殿がありませんでした。
拝殿の奥に広がる禁足地を御本地(ごほんち)として、その中央に初代天皇が神から授かった神剣「布都御魂剣」が鎮まっていたといわれます。
ただ、神剣は伝承のなかに存在するにとどまり、長い歴史の中で、見た人は誰もいませんでした。
その伝承の事実関係をはっきりさせたのが、明治時代の宮司さん。
何とこの方、国に許可を取って発掘調査に乗り出したのです。
いわずもがな、単なる好奇心ではありません。
また、そんな大胆な行動に出る以上、宮司さんは「ある」と確信していたに違いありません。
実際、この聖地を掘り起こしてみると、伝承通り、初代天皇・神武天皇が神から授かった神剣「布都御魂剣」が出土しました。
神話が現世によみがえった形です。
これを踏まえ、大正2年に本殿が造営されたそうです。
出雲建雄神社
素戔嗚尊がヤマタノオロチを退治した時に尾から出てきた「草薙剣」(くさなぎのつるぎ)。
その猛々しい荒魂である「出雲建雄神」(いずもたけおのかみ)をお祭りしているのが、出雲建雄神社です。
この神社が建立されたのは、布留邑智(ふるのおち)という神主さんが受けた神託に由来します。
この神主さん、神剣が光り輝く夢を見た翌朝、現地に足を運んでみると、神様があらわれ「この地で人々を守る」と伝えたそうです。
そんな経緯でできた「出雲建雄神社」ですが、江戸時代には、出雲建雄神は布都斯魂大神の「子ども」に当たるとして、「若宮(わかみや)」と呼ばれたそうです。
一方、出雲建雄神社の拝殿は国宝に指定されています。
もともとは、内山永久寺というお寺を守るためにつくられた神社「住吉社」の拝殿だったそうです。
紆余曲折を経て、いまは出雲建雄神社の拝殿として大切に守られています。
天神社・七座社
天神社(てんじんじゃ)と七座社(ななざしゃ)には、高皇産霊神(たかみむすびのかみ)、神皇産霊神(かみむすびのかみ)という世界をつくった神様をはじめとする「鎮魂八神」(たましずめやはしらのかみ)がお祭りされています。
また、不浄をただす「大直日神」(おおなおひのかみ)という神様も合祀されています。
天神社と七座社は、いにしえから鎮座していたと伝えられ、11月22日の「鎮魂祭」に際し、天神社と七座社の例祭が先に行われます。
「凄い神気を感じた」という参拝者もいました。
石上神宮 基本情報
石上神宮の基本情報は以下の通りです。
- 住所:奈良県天理市布留町384
- 電話:0743(62)0900
- 拝観時間:AM5:30頃~PM5:30(開・閉門の時刻は季節ごとに変動)
石上神宮 駐車場&アクセス
石上神宮には無料駐車場があります。
第1~第3まであり、計150台分のスペースがあります。
公共交通機関でのアクセス
JR天理駅~
- 徒歩約30分
- 奈良交通バス「石上神宮前」下車、徒歩約5分
車でのアクセス
- 名阪国道「天理東IC」下車、約5分
MAP
石上神宮 まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、神秘がにじむ奈良のパワースポット「石上神宮」をご紹介しました。
なお、パワスポ編集局では「奈良最強パワースポットまとめ」の記事も掲載しています。
いずれも、現地に足を運んで取材を重ね、厳選したところばかりです。
また、石上神宮の石上鎮魂法に関連のある話題として、2つの記事をご案内させて頂きます。
今回のまとめは以下の通りです。
- 石上神宮は神剣や神宝に宿る魂を祭る不思議な神社
- 魂を活性化させる秘術が伝わる
- 眷属の鶏がたくさんいる
- 神話に語り継がれる神剣が本当に出土した
- 御朱印がとてもカッコいい
- 国宝がたくさんある
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後も内容を充実させてまいりますので、どうか末永くご愛読ください。